5.4 誤差の特性関数の例 (2) 無限区間の台形公式

$\displaystyle I=\int_{-\infty}^\infty f(x)\;\Dx$

に対する台形公式

$\displaystyle I_h=h\sum_{n=-\infty}^\infty f(n h)
$

の場合、$ x_n=n h$, $ w_n=h$ ( $ n\in\mathbb{Z}$) だから、

$\displaystyle \Psi_h(z)\stackrel{\text{?}}{=}\sum_{n=-\infty}^\infty \frac{h}{z-nh}.
$

実はこれは残念ながら収束しない。しかし次のように小修正すれば良い。

$\displaystyle \Psi_h(z)=\lim_{N\to\infty}\sum_{n=-N}^N \frac{h}{z-nh}
=\pi\cot\frac{\pi z}{h}.
$

一方、 $ \mathit{\Psi}(z)$ はどうすべきか? 有限の $ (a,b)$ の場合の $ \Log\dfrac{z-a}
{z-b}$ の適当な極限として

$\displaystyle \mathit{\Psi}(z)
=\lim_{R\to\infty}\Log\frac{z+R}{z-R}
=\left\{...
...& \text{($\MyIm z>0$)} \\
i \pi & \text{($\MyIm z<0$)}.
\end{array} \right.
$

(最後の等式の証明も手頃な問題かな?と思ったので残す。 余談[*] と見比べると良い。) 実際にこの $ \mathit{\Phi}$ について

$\displaystyle I=\frac{1}{2\pi i}\int_{\Gamma}\mathit{\Psi}(z)f(z)\;\Dz
$

が成り立つことは直接簡単に証明できる。

これから

$\displaystyle \Delta I_h:=I-I_h=\frac{1}{2\pi i}\int_{\Gamma}\Phi_h(z)f(z)\;\Dz,
\quad
\Phi_h(z):=\Psi(z)-\Psi_h(z).
$

$ \left\vert\Phi_h(z)\right\vert$ の等高線を見よう。

図 8: $ \mathbb{R}$ 上の積分に対する台形公式 $ I_h$ ($ h=1/2,1/4$) の誤差の特性関数 の絶対値
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ぞっとするほど小さいことが見て取れる。

図 9: 森 [16], $ \mathbb{R}$ 上の積分に対する台形公式 $ I_h$ ($ h=0.1$) の誤差の特性関数の絶対値 … 多分誤植で、実際は $ h=1$ の場合の図だと思われる。
Image tr-over-R-by-mori



桂田 祐史