この文書は (主に UNIX 環境において) C 言語を使って数値計算する際の know how を解説したものである。
昔はよく「数値計算ならば FORTRAN」と言われたものだが、 本当はいつの時代もユーザーは手近で利用できる便利な言語を使って プログラムを書いて計算してきたものである。 実際、私は修士論文の計算は MS-DOS パソコン上の TURBO Pascal で行なった。 これを書いている現在ならば、C か C++ あるいは人によっては Java, Visual BASIC などを使うかもしれない。 今時数値計算するからと言って FORTRAN と限ったものでもないだろう、 というわけである。
とは言っても FORTRAN 文化も馬鹿にできない。よく勘違いされるのだが、 一つの言語とその処理系だけを使って仕事をするのではない。さまざまなツール、 ライブラリィ、テキスト、さらには蓄積されたノウハウ、その他もろもろのもの を使うことになる。
特に数値計算の本やライブラリィでは FORTRAN による遺産が多く残されてい るが、同じものの C 言語版を得ようとすると、「途方に暮れる」というのが 正直な感想ではないだろうか。
そういうわけで、書きたくもないけれど、 学生指導の都合上しかたなく書いたプリント類が結構たまってきたので、 それをまとめたのがこの文書である。