手短にまとめると、 Napier は、現代の理工学者ならば微分方程式を使うに違いないような、 仮想的な運動により対数を定義しました。 (Napier はガリレオとほぼ同時代人で、 微積分が存在しない時代に活躍した人なので、 時代を超越したことをやり遂げたように思われます)、
の長さの線分 を考える。 初速度 で をスタートし、 に向かう動点 を考える。 動点 の速さは の長さに等しいとする。 一方で別の線分上を, から一定速度 で動く点 を考える。 同じ時間経過したときの動点 と動点 の位置を それぞれ , とおくとき は の関数とし、 このとき を の対数という。 |
一方 であるから、
つまり Napier の対数を と書くことにすると、
しばしば、Napier の対数は底が であると言われますが、 そう言われる理由も分ります (ただし底という概念があったわけでもないし、 や の数値が出て来るわけではない) なるのはもっともに思えます。
Napier は20年かけて数値計算することで対数表 (正確に言うと、 7桁精度の三角関数の対数の表) を作成しました。 による乗除算があるのは、小数を避けるための工夫です。
桂田 祐史