6 MacTeX 2020

(かいつまんで説明すると、 MacTeX 2019 と同様にやってうまく行った、となる。 実は最初はふらついて間違ったことも書いたけれど、 まあまあ分かってきた。 きちんと整理するには時間が必要そうで、 全面リニューアルは夏休みになるかも。)


そこそこの頻度でチェックしていたけれど、 今日 (2020/4/20), MacTeX 2020 がリリースされていることに気づいた。

“approximately 4.0G - 08 April 2020” とか書いてあるけれど、 その頃 MacTeX にアクセスしても、 なかったような気がするのだけど…

インストールするには、 macOS 10.13 (High Sierra) 以降が必要だとか。 この条件については、MacTeX 2019 と変わっていない (2019 をインストールした Mac にはインストールできる、ということになる)。

早速 ミラーサイト (MacTeX) から適当なサイトを選んで、 mactex-20200407.pkg を入手した。4206162866 バイト。 昨年度の MacTeX 2019 は 3419348589 バイトだったので、 23% 大きくなった (そろそろ、フルパッケージ入れるのは考えてしまう…)。

MacTeX 2019 のインストールの記録は、 「MacTeX 2019」 に残してある。

まずは昨年度と同じようにやってみる。

mactex-20200407.pkg を起動して、クリックして行く、 6.74GB の領域を使うとか。 …問題なく終了した。

パッケージの更新をする。
sudo tlmgr option repository http://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet
sudo tlmgr update --self --all
スイスイと、109個のパッケージが更新された (2020/4/20)。

次は、本当は、色々情報を入手すべきであるが、とりあえず去年と同じでやってみる。
sudo tlmgr repository add http://contrib.texlive.info/current tlcontrib
sudo tlmgr pinning add tlcontrib '*'
sudo tlmgr install japanese-otf-nonfree japanese-otf-uptex-nonfree ptex-fontmaps-macos cjk-gs-integrate-macos
sudo cjk-gs-integrate --link-texmf --cleanup --force
sudo cjk-gs-integrate-macos --link-texmf --force
sudo mktexlsr
(3つ目は長いのでちゃんと入力されるように注意。PDFだと右端切れちゃうね。 最後は cjk-gs-integrate-macos です。)
curl -fsSL https://www.preining.info/rsa.asc | sudo tlmgr key add -
(これは絶対必要という訳ではない。これをするには gpg2 が必要である。 私は MacPorts で、 sudo port install gnupg2 としてインストールしてある。)

これもスイスイ出来た。


(2020/4/30修正) この後の部分、 少し前まで、チェックが甘くて間違ったことを書いてしまったので、修正する。


(以下、日本語フォントの埋め込みの設定をする。 これは以前は必須であったけれど、今ではデフォールトで問題がないので、 趣味の問題、オプショナル、となったようだ。 以前から MacTeX をインストールしてあった Mac では、 設定の上書きをすべきかもしれない。)


日本語のフォントとして何を使うかを選択するために、 kanji-config-updmap-sys というコマンドを使うのだが、 以下のような選択肢がある (これは私が試したもので、他にも色々ある)。

  1. sudo kanji-config-updmap-sys --jis2004 haranoaji
  2. sudo kanji-config-updmap-sys ipaex
  3. sudo kanji-config-updmap-sys --jis2004 hiragino-highsierra-pron
  4. sudo kanji-config-updmap-sys --jis2004 hiragino-pron

1 が MacTeX 2020 のデフォールトであり、 原ノ味フォントという期待の新人を使う。 組版して出来た PDF ファイルの表示・印刷はちゃんと出来る。

2 は MacTeX 2016〜2019 でのデフォールトであった。 IPAex フォントを使う、という指示である。 組版して出来た PDF ファイルの表示・印刷はちゃんと出来る。

3 は (HighSierra以降の) macOS に付属しているヒラギノフォントを使う、 という指示だが、MacTeX 2020 では、エラーになってしまう。

4 は El Capitan よりも前の macOS に付属していたヒラギノフォントを 保存しておいて、それを使うという指示だが、 MacTeX 2020 でも組版して出来た PDF ファイルの表示・印刷はちゃんと出来る。


(このテストに使った Mac は古いもの (2011年版) で、 macOS 自体は HighSierra にアップグレードしてあるが、 Mavericks のときのヒラギノフォントを保存してあった。 それで 4 も試せた、ということである。)


(2020/4/27追記) kanji-config-updmap-sys については、 「TeX Wiki    TeX Live/Mac     kanji-config-updmap(-sys)」 以外に 「kanji-config-updmap — 日本語フォント設定ツール」 というドキュメントがあるのを知った。 ちゃんとやりたい人は読破すべきなのかも。


pdffonts コマンドを使うと (これは MacPorts でインストール出来る, 「xpdf (日本語の設定と周辺ツール)」)、 PDF ファイルに埋め込まれたフォントを調べられる。 上の 1, 2, 4 のどれを使っても、ちゃんと埋め込まれるのを確認出来た。


次は個人的なこだわり (リモートの dvi ファイルをチラ見したいから。 普通は必要ない。)。 古い MacTeX に入っていた pxdvi一式 (個人的に pxdvi-2017.tar.gz というファイルにまとめてある) を持って来て、少しおまじない。
sudo tar xzf pxdvi-2017.tar.gz -C /usr/local/texlive/2020
cd /usr/local/texlive/2020
ln -s texmf-dist texmf
sudo mktexlsr

cd texmf-dist/xdvi
sudo cp XDvi XDvi.org
sudo gsed 's/\(^\*font:\)\(.*\)helvetica\(.*\)/\1\2\*\3-\*/' -i XDvi
sudo gsed 's/\(^\*statusline\.font:\)\(.*\)helvetica\(.*\)/\1\2\*\3-\*/' -i XDvi
これも動いた。 … … ここまで何の問題も生じなかった。 新年度の授業準備で忙しいところなので、とても嬉しい。


macOS 10.15 (Catalina) にインストールするというのが残っているけれど、 それは明日以降にする。

(2020/4/21, 4/29) 今日は、Catalina をインストールしてある、 MacBook Pro (13-inch, 2019, Four Thunderbolt 3 ports) に MacTeX 2020 をインストールしてみた。 上とほぼ同様のやり方で特に問題は出なかった。

この Mac には古いヒラギノフォントはないので、 1 (原ノ味), 2 (IPAex) が出来た、ということである。

(2020/4/29) 原ノ味フォントについては、 [*] 「日本語フォントの選択を考える (原ノ味フォントにこんにちは)」 というのも書いた。

(2020/9/12) 試すためのサンプルを。
curl -O http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/misc/20200912/first.tex
ptex2pdf -l first.tex
open first.pdf

curl -O http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/misc/20200912/dot.latexmkrc
cat dot.latexmkrc
cp -i dot.latexmkrc ~/.latexmkrc
latexmk first.tex
open first.pdf


(これは相変わらず必要) 時々、 何かのトラブルで更新がうまく行かずにパッケージが強制的に除去されることがある。 それで “skipping forcibly removed package 某” と言われることがある。その場合は
sudo tlmgr install --reinstall 某
あるいは
sudo tlmgr update --reinstall-forcibly-removed --all
とすれば良い。


(2021/3/5加筆) 数日前から、アップデートする際に
tlcontrib = http://contrib.texlive.info/current (not verified: valid signature with expired key)
のようなメッセージが出て来るようになった。
curl -fsSL https://www.preining.info/rsa.asc | sudo tlmgr key add -
とやり直したら出なくなった。


Apple Silicon (M1) への対応は MacTeX 2021 からだそうで、 待ち遠しい。


(2022/4/17追記)

桂田 祐史