2 MacTeX 2022が来ました

(2023/3/21追記) 「MacTeX 2023 が来た」 を書いた。


(しばらく工事中)

今年は(も)早かった。4月4日、 MacTeXのWWWサイト に MacTeX 2022 が登場した。

今年は BasicTeX (Smaller Download) も試してみよう、と前々から思っているけれど、まずは Full の方で。

ちなみに macOS はすべて 12.3.1 (Monterey) である。

(2021/4/4) M1 を載せた MacBook Air.

いつものように、前のバージョンの記録 「MacTeX 2021を待つ …M1対応バージョン やって来ました!」, 「MacTeX 2020」 を参考に進める。修正手順はこの節の最後にまとめる。

MacTeX.pkg は 4701496188 バイト -- あ、これは MacTeX 2021 だ。 なんでこんな間の抜けたことに (ファイル名にちゃんと年号を入れておけば良いのに…やはり改悪だったよね)。 たくさんの無駄なネットワーク・トラフィックが発生するのでは?


https://www.ctan.org/mirrors/mirmon をのぞきに行って、 そこで知った JAIST のミラー を見てみる。 2022-03-22 06:00 付けでファイルが届いていた。 複雑な気持ちだ (気づいていれば新年度前にできただろう)。

mactex-20220321.pkg というファイルがあって、 どうも中身は MacTeX.pkg と同じみたいだ。 もしかすると mactex-20220321.pkg というのが本名で、 MacTeX.pkg が別名ということなのか? 別名にしても MacTeX2022.pkg のように年号をつけて、 古いのと区別すべきだろう。 大抵の人は、WWWサイトでクリックするだけなのだろうし、 MacTeX2022.pkg として悪い理由が思いつかない…

ともあれ、2022年版は 4961582623 バイト。少しだけ大きくなった。

MacTeX.pkg をダブルクリックで起動して、 クリックして行く…問題なく終了した。 何でも 7.48GBの領域が必要とか。 うっかり時間を測り忘れたけれど、5分もかからなかったような気がする (その後、一番速いMacでやったら、3分だった)。

更新作業を行う。
sudo tlmgr option repository http://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet
sudo tlmgr update --self --all
(2022/4/4) すでに25個の更新がたまっていた。
(2022/4/5) 44個の更新がたまっていた。
(2022/4/6) 85個の更新がたまっていた。
(2022/4/8) 105個の更新がたまっていた。
(2022/9/26) 574個の更新がたまっていた。

tlcontrib を使うようにして、日本語フォント関係の設定をする。
sudo tlmgr repository add http://contrib.texlive.info/current tlcontrib
sudo tlmgr pinning add tlcontrib '*'
sudo tlmgr install japanese-otf-nonfree ptex-fontmaps-macos cjk-gs-integrate-macos
sudo cjk-gs-integrate --link-texmf --cleanup --force
sudo cjk-gs-integrate-macos --link-texmf --force
sudo mktexlsr

cjk-gs-integrate で次のような警告が出る (これは以前からそう)。
Our built-in database does not support recent
cjk-gs-integrate [WARNING]: versions of Mac OS (10.8 Mountain Lion or later)!
cjk-gs-integrate [WARNING]: If you want to use Hiragino fonts bundled with
cjk-gs-integrate [WARNING]: your OS, obtain external database file and
cjk-gs-integrate [WARNING]: specify it with --fontdef-add option!
cjk-gs-integrate [WARNING]: I'll continue with my built-in database ..

ghostscript は 9.55.0 になっている (/usr/local/share/ghostscript/9.55.0)。最近の MacPorts と同じだ。

本当はこれ(鍵の登録)を先にやっておくのかな。
curl -fsSL https://www.preining.info/rsa.asc | sudo tlmgr key add -
(gnupg が必要で、私はこれを MacPorts でインストールしてある。 sudo port install gnupg2)


念のため
sudo tlmgr update --self --all
とすると、今回は一切の警告なしに「アップデートはない」と言われる。順調。

色々動作チェック (適当な nantoka.tex を組版して表示してみる)
platex nantoka.tex
dvipdfmx -d 5 -O 2 nantoka.dvi
open nantoka.pdf
pdffonts nantoka.pdf
dvips -f nantoka.dvi > nantoka.ps
gv nantoka.ps

ptex2pdf -l -od '-d 5 -O 2' nantoka.tex
どれもすいすい動く。全く何の問題も起こらなかった。

du -m /usr/local/texlive/2022
とすると 7735 (MB) と表示される (7.48より多いね)。あれ、2021 は最後は 9574 だった。


毎年やっているように、古い pxdvi を持ってきて動かすこともできた。 しかし、それについてはもうここには書かないことにする (個人的趣味の問題だし、何なら昨年の記録を見れば良い。 出て来る 2021 を 2022 にするだけ。)。 そもそも最近は、リモート・ホストに置いてある TeX 文書の確認には、 pxdvi の代わりに xpdf を使っているので、 もう pxdvi をインストールする必要をほとんど感じなくなった。


BasicTeX (初挑戦)

どきどき。BasicTeX.pkg のサイズはわずか 98139845 バイト (97MB)。 小さいだけ、そのインストールは早く済む。

sudo tlmgr option repository http://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet
sudo tlmgr update --self --all
(2022/4/4) 15個の更新がたまっていた。FullのMacTeX よりは少ない(当たり前か)。

次をやりなさい、 と TeX Wiki BasicTeX に書いてある。
sudo tlmgr install collection-langjapanese

sudo cjk-gs-integrate --link-texmf --cleanup --force
sudo cjk-gs-integrate-macos --link-texmf --force
sudo mktexlsr

curl -fsSL https://www.preining.info/rsa.asc | sudo tlmgr key add -
あれ?エラーになる。 (後でやったら通った。なぜだろう。追記: どうもネットワークが不安定だったせいみたい。)

試しに組版してみたら、普段使っているものが色々入っていないことが分かった。 面倒なので 2021 の方からコピーした。
sudo cp -pr /usr/local/texlive/2021/texmf-dist/tex/latex/framed /usr/local/texlive/2022basic/texmf-dist/tex/latex
sudo cp -pr /usr/local/texlive/2021/texmf-dist/tex/latex/accents /usr/local/texlive/2022basic/texmf-dist/tex/latex
sudo cp -pr /usr/local/texlive/2021/texmf-dist/tex/latex/esvect /usr/local/texlive/2022basic/texmf-dist/tex/latex
sudo cp -pr /usr/local/texlive/2021/texmf-dist/fonts/source/public/esvect /usr/local/texlive/2022basic/texmf-dist/fonts/source/public
sudo cp -pr /usr/local/texlive/2021/texmf-dist/fonts/tfm/public/esvect /usr/local/texlive/2022basic/texmf-dist/fonts/tfm/public
sudo cp -pr /usr/local/texlive/2021/texmf-dist/fonts/type1/public/esvect /usr/local/texlive/2022basic/texmf-dist/fonts/type1/public

これまで /usr/local/texlive/texmf-local に入れたものが読まれない。 /usr/local/texlive/2022basic/texmf-local に置く?

dvips 以外は動いている感じ。dvips が動かないのはなぜかなあ。 最近は dvips を使っていないし、動くようにするため頑張るかどうか、迷う。

/usr/local/texlive/2022basic は 951MB くらい。 7735 が 951 になるわけで、ざっと1/8 になるわけだ。

まずは1台目。 これでこれまで作ってきた色々な文書を組版してみて (LaTeX Beamer 関係とか大丈夫かなあ)、 BasicTeX に必要なものを追加する手順をまとめてみる。 --- と言いつつ放置状態。 必要なものを後から追加するのは、必要なもののリストがあれば簡単だけれど、 そうでないと意外と時間を食って不便に感じる。 8GB を1GBにしてストーレージの節約をするよりも、 時間の方が自分には大きく感じられる、ということか。


(2022/4/5追記) Intel Mac で Full をインストールしてみた。すんなり出来た。 ヒラギノ・フォント関係を調べてみるか (まあ、haranoaji でいいか、と思っているのだけど)。

これは古い Mac で、古い Hiragino フォントがあるので、ためしに
sudo kanji-config-updmap-sys --jis2004 hiragino-pron
としてみたら、無事使うことが出来た。簡単。

しかし、 新しい Mac に標準搭載されている Hiragino フォントを使うための hiragino-highsierra-pron はてこずった。
sudo tlmgr install japanese-otf-nonfree ptex-fontmaps-macos cjk-gs-integrate-macos
sudo cjk-gs-integrate --link-texmf --cleanup
sudo cjk-gs-integrate-macos --link-texmf --fontdef-add=cjkgs-macos-highsierra.dat
cd /usr/local/texlive/texmf-local/fonts/opentype/cjk-gs-integrate
sudo ln -s /System/Library/Fonts/ヒラギノ明朝\ ProN.ttc HiraginoSerif.ttc
cd -
sudo mktexlsr
sudo kanji-config-updmap-sys --jis2004 hiragino-highsierra-pron
フォント (ヒラギノ明朝 ProN.ttc) にシンボリック・リンクを張るあたりは、以下を参考にした (助かりました。ありがとうございます。)。

(2022/4/6追記) あれ、シンボリック・リンクが自動で張られるMacもある? 張られていないMacもある。何だか、良く分からないぞ。

新しい Hiragino を使う設定にした時、gv では表示できないのか? HiraKakuProN-W3-H, HiraMinProN-W3-H がない、こともある。その場合は
cd /opt/local/share/ghostscript/9.55.0/Resource/Font
sudo cp HiraKakuProN-W6-2004-H HiraKakuProN-W3-H
sudo cp HiraMinProN-W3-2004-H HiraMinProN-W3-H
sudo vi HiraKakuProN-W3-H HiraMinProN-W3-H
適当に修正する。
一応できた。


デフォルトの haranoaji に戻すのは簡単。
sudo kanji-config-updmap-sys --jis2004 haranoaji

まとめ (工事中)
Full バージョンのインストール
(MacTeX.pkg をインストールした後で、ターミナルで次のコマンドを入力する。)
sudo tlmgr update --self --all
sudo tlmgr repository add http://contrib.texlive.info/current tlcontrib
curl -fsSL https://www.preining.info/rsa.asc | sudo tlmgr key add -
sudo tlmgr pinning add tlcontrib '*'
#sudo tlmgr install collection-langjapanese
sudo tlmgr install japanese-otf-nonfree ptex-fontmaps-macos cjk-gs-integrate-macos
sudo cjk-gs-integrate --link-texmf --cleanup --force
sudo cjk-gs-integrate-macos --link-texmf --force
sudo mktexlsr
sudo kanji-config-updmap-sys --jis2004 haranoaji
Full バージョンのインストール後に(最近の)Hiraginoを使うように設定
sudo cjk-gs-integrate --link-texmf --cleanup
sudo cjk-gs-integrate-macos --link-texmf --fontdef-add=cjkgs-macos-highsierra.dat
cd /usr/local/texlive/texmf-local/fonts/opentype/cjk-gs-integrate
sudo ln -s /System/Library/Fonts/ヒラギノ明朝\ ProN.ttc HiraginoSerif.ttc
cd -
sudo mktexlsr
sudo kanji-config-updmap-sys --jis2004 hiragino-highsierra-pron

それにしても、複雑なものをこれだけ簡単にインストールできるようになっていて、 更新が続いているにもかかわらず簡単さを維持しているのは、正直すごいと思う。 関係者の努力に頭が下がります。


(2023/1/29追記) なるべく一箇所に書いておいた方が良いだろう、ということで。

桂田 祐史