1.1 これを現象数理研究Iで参考にする人に向けて

桂田は(主に微分方程式の)数値計算法の数理の研究をしている。 ゼミの学生は何らかの数値計算をするテーマを選びことが多い。


微分方程式や、数値計算について学ぶことが大事で、 それらについてのテキストを読んだりするところから始めたいところだが、 現象数理研究Iでは、時間が限られているので (ガイダンスを除くと6回)、 これまであまり成功しなかった。 やはり短くとも色々なことを体験できる内容にした方が良いだろう、 と考えて、短いテキストを用意することにした。

話の進め方は、ある特定の問題を取り上げて、 それに対して色々な理論や方法を(とりあえず根拠はおいておいて)適用して、 その性質を調べる、とする。

数学の定理の内容は、証明を読まなくても理解できる場合がある。 使う定理の証明を端からやっていくと時間が絶対的に不足するが、 それをとりあえずサボって短い時間に色々やってみる、と言うことである。

数値計算についても同様で、なぜその方法で計算できるかの理屈は学ばなくても、 たたき台プログラムを使って (必要ならば書き換えて) 数値計算できる場合がある。 とにかく数値シミュレーションをやってみよう。

肝心の問題は、現在世間で話題になっている感染症の流行を取り上げることにする。



桂田 祐史