3.3 数値積分

これについては、私は応用複素関数という講義で説明している。 迷いながら講義したせいで、 講義ノート (http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/lecture/applied-complex-function-2019/numerical-integration-2019.pdf, http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/lecture/applied-complex-function-2019/numerical-integration.pdf) には色々なことが書いてある。 関数論と縁の深い、 高橋・森の誤差解析や二重指数関数型数値積分公式 (double exponential formula) が学ぶに値するものである。

参考になるのは、書籍としては

杉原正顯, 室田一雄, 数値計算法の数理, 岩波書店 (1994)
という和書。しかしあまりページ数は割かれていなくて、 論文や研究発表を読むことになるかもしれない (研究発表は日本語で読めるものが多い)。


自分で数値実験をしつつ、重要な定理を理解するのがおすすめ。


Julia では、簡単に多倍長演算が行えるので、 数値実験には有利であると考えている。


(脱線) 一方、数値積分は現在ではかなり煮詰まった1感じのするテーマであり、 今でも研究している人はいて、その人達の話を聞くと感心するけれど、 初学者が研究テーマに選ぶのはつらいところがあるかもしれない (勉強のテーマとしては良いのだけど…)。 自分で何か良いアイディアを出す必要がある。


比較的近い(と個人的に考えている)話題に、 Laplace方程式の境界値問題を解くためのアルゴリズムである代用電荷法 (charge simulation method, 基本解の方法とも呼ぶ) がある。 私の院生に、 代用電荷法における精度保証付き数値計算をテーマに研究している人がいて (今度修論発表がある)、 その後を続けるのは良いかも。

桂田 祐史
2020-01-20