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現在の日本の大学の理工系のカリキュラムでは、
1, 2 年次に「線形代数」 (linear
algebra) を学ぶことになっている11。
その主たるテーマは
有限次元の線型空間とその間の線型写像の理論であるが12、
ここでは連立1次方程式
, 固有値問題13
の解法に焦点を当ててみよう。
(念のために注意しておくと、
連立1次方程式と固有値問題だけが重要なのではない。
ともすると試験問題の花形なのでそう思ってしまう人もいると思うが…)
連立1次方程式の「解き方」としては、現在普通の線形代数の本では、
- (1)
- 逆行列を用いる (逆行列については、
行列式を使った公式 (しばしば定義式) があげられている)
- (2)
- Cramer の公式を用いる
- (3)
- 「掃き出し法」14を用いる
などが説明されているが、これらは、
計算の効率 (なるべく少ない計算量で計算する) と数値的安定性に問題がある。
特に、
連立1次方程式を解くために逆行列を求めてはいけない!
また固有値の求め方としては、線形代数の本では
という定理を述べて解決ということにしてある。
この方法 (固有多項式に帰着する方法) では、
実際にはごくごく小規模な問題しか解くことができない。
行列の固有値を求めるために固有方程式を解いてはいけない!
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桂田 祐史
2012-07-11