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A..2.1 円に接する正多角形の周長を用いる方法

円周の長さや円の面積をどう求めるか、 古くから色々な方法が知られていましたが、 何分無理数であるので、完全なやり方ではないわけです。 アルキメデスによって、 すべての問題は円周率の値を決定することにはっきりと帰着されました。 当然彼は円周率の値を調べることになります。 彼は論文「円の計測」のなかで、 円に内接する正多角形の周長と外接する正多角形の周長を用いて、 円周率の下からの評価と上からの評価を得るというアイディアを提出しました。

これについては挑戦課題2C1を出してあります (これは http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/syori2-2007/jouhousyori2-2007-02/node8.htmlに置いてあります。)。 その課題の文章を見てもらえれば分かりますが、 四則と平方根の計算だけを使って、 正96角形の周長の計算を行い、それにもとづき

$\displaystyle 3+\frac{10}{71}<\pi<3+\frac{1}{7}
$

を証明したということです。


ところでこの正多角形の周長から円周率の近似値を求める方法は、 これ以降 1000 年以上、 人類が知るほとんど唯一の方法でした (中国、ペルシャ、色々な場所、色々な時代に計算に挑戦する人が現れました)。

ドイツの Ludolph van Ceulen (1540-1610, ドイツの Hildesheim に生まれ、 オランダの Leiden にて没する) が 内接正 $ 2^{62}$ 角形の周長で $ 35$ 桁の値を計算した (1596年) というのが、 有名です。


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Masashi Katsurada
平成21年4月20日