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開集合、閉集合の判定 (続き)


\begin{jproposition}[とても便利: 連続関数による逆像の開集合、閉集合の判定]
$f\c...
...n\R^n; f(x)=c\}$\ は $\R^n$\ の
閉集合である。
\end{enumerate}\end{jproposition}

Proof.
(1)
$ A:=\{x\in\R^n; f(x)>a\}$ とする。 $ x\in A$ とすると、$ f(x)>a$. $ \eps:=f(x)-a$ とおくと、$ \eps>0$. $ f$$ x$ で連続だから、

$\displaystyle \exists\delta>0\quad (\forall y\in\R^n; \Vert y-x\Vert<\delta)\quad
\left\vert f(y)-f(x)\right\vert<\eps.
$

ゆえに $ \forall y\in B(x;\delta)$ に対して、 $ \left\vert f(y)-f(x)\right\vert<\eps$ であるから、 $ -\eps<f(y)-f(x)<\eps$. ゆえに $ f(y)>f(x)-\eps=f(x)-(f(x)-a)=a$. ゆえに $ y\in A$. これは $ B(x;\delta)\subset A$ を意味している。 ゆえに $ A$$ \R^n$ の開集合である。

$ \{x\in\R^n; f(x)<b\}$ も同様に証明できる。あるいは $ F(x):=b-f(x)$ と おくと、 $ \{x\in\R^n; F(x)>0\}$ であることから。

$ \{x\in\R^n; a<f(x)<b\}$ $ \{x\in\R^n; f(x)\ne c\}$ については、

      $\displaystyle \{x\in\R^n; a<f(x)<b\}=\{x\in\R^n; f(a)>a\}\cap \{x\in\R^n; f(x)<b\},$
      $\displaystyle \{x\in\R^n; f(x)\ne c\}=\{x\in\R^n; f(x)<c\}\cup\{x\in\R^n; f(x)>c\}$

と、次の命題0.2 の (iii), (ii) による。
(2)
$ A:=\left\{x\in\R^n; f(x)\ge a\right\}$ とするとき、

$\displaystyle A^c=\R^n\setminus A=\left\{x\in\R^n; f(x)<a\right\}
$

は、(1) の2番目より $ \R^n$ の開集合である。 ゆえに $ A$$ \R^n$ の閉集合である。 $ \left\{x\in\R^n; f(x)\le b\right\}$ が閉集合であることも同様に証明できる。 また $ \{x\in\R^n; a\le f(x)\le b\}$ については、

$\displaystyle \{x\in\R^n; a\le f(x)\le b\}
=\{x\in\R^n; f(a)\ge a\}\cap \{x\in\R^n; f(x)\le b\}
$

と、二つの閉集合の共通部分になっているから、 次の系0.3 の (ii) により、閉集合である。 $ B:=\{x\in\R^n; f(x)=c\}$ の補集合

$\displaystyle B^c
=\{x\in\R^n; f(x)=c\}^c
=\{x\in\R^n; f(x)\ne c\}
$

は、(1) より $ \R^n$ の開集合であるから、$ B$ は閉集合である。 $ \qedsymbol$
ARRAY(0xf63334) $ \qedsymbol$

次の命題は既に習ったはずである (「集合・距離・位相1」でも出て来るはず)。


\begin{jproposition}[開集合系の公理]
(i) $\emptyset$, $\R^n$\ は $\R^n$\ の開集..
...\ 、ホウォスクケ遉ハ、鬢ミ。「
$U_1\cap U_2$\ 、マ $\R^n$\ 、ホウォスクケ遉ヌ、「、襦\end{jproposition}

Proof. 念のため、(iii) だけでも証明しておく。 $ x\in U_1\cap U_2$ とすると、 $ x\in U_1$ で、$ U_1$ は開集合だから、 $ \exists \eps_1>0$ s.t. $ B(x;\eps_1)\subset U_1$. 同様に $ \exists\eps_2>0$ s.t. $ B(x;\eps_2)\subset U_2$. $ \eps:=\min\{\eps_1,\eps_2\}$ とおくと、 $ \eps>0$ で、

$\displaystyle B(x;\eps)\subset B(x;\eps_1)\subset U_1,\quad
B(x;\eps)\subset B(x;\eps_2)\subset U_2
$

であるから、 $ B(x;\eps)\subset U_1\cap U_2$. ゆえに $ U_1\cap U_2$$ \R^n$ の開集合である。 $ \qedsymbol$ ARRAY(0xf62e30) $ \qedsymbol$


\begin{jcorollary}[閉集合系の公理]
(1) $\emptyset$, $\R^n$\ は $\R^n$\ の閉集合..
...n$\ 、ホハトスクケ遉ハ、鬢ミ。「
$U_1\cup U_2$\ 、マ $\R^n$\ 、ホハトスクケ遉ヌ、「、襦\end{jcorollary}


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Masashi Katsurada
平成23年6月2日