代表的な反復法として、きょうやくこうばいほう共役勾配 法 (conjugate gradient method, 略して CG 法) を取 り上げる1。これは が 正定値対称行列である場合に利用可能な方法である2。
初期ベクトル をとる 目標とする相対残差 を決める |
ここに掲げた「古典的な」CG 法では、実際に解ける問題がかなり限定され る。近年は前処理 (preconditioning) と呼ばれるテクニックを併 用した前処理つき共役勾配法 (preconditioned CG method, 略し てPCG 法) が広く使われている。前処理でやっていることは、与え られた問題を、固有値が密集している係数行列を持つ問題に変換することであ ると言えるが、具体的にどのような前処理を採用すべきかは、係数行列 の性質に強く依存する。