2.7 周期関数の $1$ 周期上の数値積分

この節では「複合」という接頭辞を省いて単に、台形則、中点則、 Simpson 則と呼ぶ。

$f\colon\R\to\R$ が周期 $b-a$ の周期関数である場合、$1$ 周期にわたる積分

\begin{displaymath}
I=\int_a^b f(x) \Dx
\end{displaymath}

を台形則で計算することを考える。台形則の公式は

\begin{displaymath}
T_n=h\left(\half f(a)+\sum_{j=1}^{n-1}f(a+j h)+\half f(b)\right)
\end{displaymath}

であったが、$f(a)=f(b)$ に注意すると

\begin{displaymath}
T_n=h \sum_{j=0}^{n-1}f(a+j h)= h \sum_{j=1}^{n}f(a+j h)
\end{displaymath}

とも表せる。(この式からも容易にわかるように、周期関数の $1$ 周期にわたる積 分を計算する場合、台形則と中点則は本質的には同じものである。)

$f$$C^{2m}$-級ならば Euler-Maclaurin の公式から、

\begin{displaymath}
I-T_n=
R_m=\frac{h^{2m+1}}{(2m)!}\int_0^1 B_{2m}(t)
\left...
...m_{k=0}^{n-1}f^{(2m)}(a+k h+h t)
\right)\Dt,
\quad h=(b-a)/n
\end{displaymath}

であるから、高精度であることが期待できる。

実際に被積分関数の計算回数をそろえて比較すると、 台形則は Simpson 則よりもはるかに高精度の値が得られることが多い。

桂田 祐史
2016-03-13