7 期待値・分散・標準偏差

離散的確率変数 $ X$ が取り得る値が $ x_1$, $ \cdots$, $ x_s$ で、 $ X$ の確率分布が

$\displaystyle P(X=x_k)=p_k$   $\displaystyle \mbox{($k=1,2,\cdots,s$)}$

で与えられているとき

$\displaystyle E(X)\DefEq \sum_{k=1}^s x_k p_k
$

で定まる $ E(X)$ を確率変数 $ X$ のきたいち期待値 (expectation) あるいは 平均 (mean) と呼ぶ。また、

$\displaystyle V(X)\DefEq \sum_{k=1}^s (x_k-m)^2 p_k, \quad
m=E(X)
$

で定まる $ V(X)$ を確率変数 $ X$ のぶんさん 分散 (variance) と呼ぶ。

分散はつねに 0 以上の値を取る。


\begin{jtheorem}\upshape
\begin{displaymath}
V(X)=E(X^2)-E(X)^2.
\end{displayma...
...in{displaymath}
E(X^2)= \sum_{k=1}^s x_k^2 p_k.
\end{displaymath}\end{jtheorem}

\begin{jremark}\upshape
これはとても有名であるが、
コンピュー...
...ひどい場合は分散が負になってしまったりする。
\end{jremark}


\begin{jdefinition}[確率変数の標準偏差]\upshape
確率変数 $X$ の...
...\sqrt{V(X)}=\sqrt{\sum_{k=1}^s (x_k-m)^2p_k}.
\end{displaymath}\end{jdefinition}


\begin{jremark}\upshape
いわゆる偏差値というのは標準偏差を用...
...になることも, $100$ 以上になることもある。 \qed
\end{jremark}


\begin{jtheorem}[チェビシェフ (Cebysev) の不等式]\upshape
\index{ち...
...\vert X-m\vert\ge \lambda\sigma)\le 1/\lambda^2.
\end{displaymath}\end{jtheorem}
平均から離れる確率はあまり大きくなれない、 ということを表わしている式である。 しかし、この式は理論上活躍することは多いが、 実際の問題に直接役立つことはない。



桂田 祐史