6.1.3 Green の積分公式 (続き)

Green の第2積分公式

$\displaystyle \int_{\rd\Omega}
\left(v\frac{\rd u}{\rd n}-u\frac{\rd v}{\rd n}\right)\D\sigma
=\int_\Omega\left(v\Laplacian u-u\Laplacian v\right) \D\bm{x}
$

を利用して、次のGreen の第3積分公式を得る (証明の詳細は略するが、 関数論の Cauchy の積分公式の証明のように、 $ x$ を中心とする球を除いた領域で Green の公式を適用してから、 球の半径を 0 に近づける。詳しくは桂田[3]の§3.5を見よ。)。

$\displaystyle -\int_\Omega E(x-y)\Laplacian u(y)\D\bm{y}
+\int_{\rd\Omega}E(x-...
... & \text{($x\in\mathbb{R}^m\setminus\overline{\Omega}$)}.
\end{array} \right.
$

( $ x\in\rd\Omega$ の場合は左辺第3項は主値積分である。)

(a)
$ u$ $ \Laplacian u=0$を満たすならば、 $ x\in \Omega$ に対して、

$\displaystyle u(x)=\int_{\rd\Omega}E(x-y)\frac{\rd u}{\rd n_y}(y)\D\sigma_y
-\int_{\rd\Omega}u(y)\frac{\rd}{\rd n_y}E(x-y)\D\sigma_y.
$

すなわち、$ u$ が調和関数であるとき、 $ u$, $ \rd u/\rd n$$ \rd\Omega$ での値が分かれば、 $ u(x)$ の値がこの式で求まることになる (正則関数の Cauchy の積分公式に似ていて、使いでのある公式)。 境界条件から半分は分かっているので、 もう半分求めれば良いことになる。

以下は細かい話になるが: 例えば $ \Gamma_N=\emptyset$ のとき、

$\displaystyle \frac{1}{2}g_1(x)=
\int_{\rd\Omega}E(x-y)\frac{\rd u}{\rd n_y}(y)\D\sigma_y
-\int_{\rd\Omega}g_1(y)\frac{\rd}{\rd n_y}E(x-y)\D\sigma_y.
$

これから $ \rd\Omega$ 上で $ \rd u/\rd n$ を求めることが出来る。
(b)
$ u$$ \rd\Omega$ の近傍で 0 ならば、 $ x\in \Omega$ に対して、

$\displaystyle -\int_\Omega E(x-y)\Laplacian u(y)\D\bm{y}
=u(x).
$

この事実を超関数解釈すると $ -\Laplacian E(x-\cdot)
=\delta(\cdot-x)$ となる。



桂田 祐史