5.5 (細かい話) 多重連結領域の場合

$ \Omega$ が単連結でないときは? $ D_1$ は単連結であるから、 $ \varphi\colon\Omega\to D_1$ は双正則ではありえない。

$ \mathbb{C}$ の領域 $ \Omega$は、 $ \widehat{\mathbb{C}}\setminus\Omega$$ n-1$ 個の連結成分から なるとき、$ n$重連結領域であるという。 例えば $ \mathbb{C}\setminus\{0\}$ $ \mathbb{C}\setminus\overline{D_1}$二重連結 $ \mathbb{C}\setminus\{0,1\}$三重連結である。 (単連結は、1連結に相当して、 補集合 $ \widehat{\mathbb{C}}\setminus\Omega$ は1個の連結成分からなる -- つまり連結である。)

$ \Omega$ が2重連結領域である場合、 $ 1$ より小さい $ r$ と、 $ \Omega$ から円環領域 $ A(0;r,1)=\left\{w\in\mathbb{C}\relmiddle\vert
r<\vert w\vert<1\right\}$ の上への双正則写像 $ \varphi\colon\Omega\to A(0;r,1)$ が存在する。

三重連結以上の場合も、調べられている。



桂田 祐史