(この文書は、 2018/6/18 の講義のためのメモ 08-20180618応用複素関数.pdf の主要部分を打ち込んだものである。 次の節と適当にマージする。)
で交わる滑らかな2曲線
,
があるとき、
と
がなす角は、
と
を
で写した2曲線のなす角に等しい。
実際
で
を通る曲線
に対して、
数学の多くの分野で「同型写像」と呼ばれる写像があるが、
双正則写像は複素関数論における同型写像と言って良いであろう。
が双正則であるとき、
複素関数論的には
と
は同じ、ということである。
これは応用上も意味があることで、
例えば (
) における渦無し非圧縮流は、
(
) によって
(
) における渦無し非圧縮流にうつる。
と
の一方で流れの問題が解ければ、他方でも解けたことになる、等々。
同型写像というものを考えると、標準的なものに移すことが問題になるが、 複素関数論では、次の定理が基礎的である。
記号の紹介
複素平面の原点中心、半径 の開円盤を
で表す:
.
のことを
の等角写像、
の写像関数と呼ぶことがある。
(要するに、
「
の等角写像」とは、
から
への双正則な関数のことである。)
上の定理の仮定のもとで、双正則写像 は一意的には定まらないが、
次の定理が成り立つ。
条件 (5.1) を正規化条件と呼ぶ。
複素平面
内の任意の単純閉曲線 (Jordan曲線)
は、
ある有界領域
を「囲む」が、
は単連結である。
こういう
を Jordan 領域と呼ぶ。
この場合は、
任意の双正則函数
に対して、
同相写像であるような拡張
が存在することが知られている
(Caratheodry の定理)。
その場合は、
ポテンシャル問題を解くことで が求まることを説明しよう。
となる
を取ると、
関数
は
(
が除去可能特異点であるので)
で正則である。
(4.1) | ![]() ![]() ![]() |
(4.2) | ![]() ![]() |
(4.3) | ![]() ![]() ![]() |
これはポテンシャル問題であり、解が一意的に存在する。
こうして が定まるが、
は
の共役調和関数として定数差を除き定まる。
特に
を満たすものを選ぶ。
このとき
桂田 祐史