4 等角写像, Riemann の写像定理 (工事中)

(この文書は、 2018/6/18 の講義のためのメモ 08-20180618応用複素関数.pdf の主要部分を打ち込んだものである。 次の節と適当にマージする。)


\begin{jdefinition}
\begin{enumerate}[(1)]
\item
$U$ は $\mathbb{C}$ の領...
... がともに正則であることをいう。
\end{enumerate}\end{jdefinition}

$ z\in U$ で交わる滑らかな2曲線 $ C_1$, $ C_2$ があるとき、 $ C_1$$ C_2$ がなす角は、 $ C_1$$ C_2$$ f$ で写した2曲線のなす角に等しい。 実際 $ t=0$$ z$ を通る曲線 $ \varphi\colon (-\eps,\eps)\to U$ に対して、

$\displaystyle \left.\frac{\D}{\D t}f(\varphi(t))\right\vert _{t=0}
=f'(\varphi(0))\varphi'(0)
=f'(z)\varphi'(0)
$

であるから

$\displaystyle \arg\left.\frac{\D}{\D t}f(\varphi(t))\right\vert _{t=0}
=\arg f'(z)+\arg\varphi'(0).
$

接線の方向はつねに


\begin{jproposition}
双正則ならば等角である。
\end{jproposition}

証明. $ w=f(z)$ が双正則ならば、 $ f^{-1}(f(z))=z$. 両辺を微分して、 $ \left(f^{-1}\right)'(w)f'(z)=1$. これから $ f'(z)\ne 0$. $ \qedsymbol$ $ \qedsymbol$


\begin{jremark}
上の命題の逆は真でない (等角写像は必ずしも...
...ういうことを思いつかないのかもしれない。 \qed
\end{jremark}


\begin{jexample}[単位円盤の等角写像]
$z_0\in D_1$, $\eps\in\mathbb{C}$...
...定理を用いる。
詳しいことは付録に回す)。 \qed
\end{jexample}


\begin{jexample}
$H:=\left\{z\in\mathbb{C}\relmiddle\vert \MyIm z>0\right\}$ ...
...。
この $\varphi$ を \textbf{Cayley 変換}と呼ぶ。 \qed
\end{jexample}


\begin{jexample}[Schwarz-Cristoffelの公式]
(準備中)
\qed
\end{jexample}

数学の多くの分野で「同型写像」と呼ばれる写像があるが、 双正則写像は複素関数論における同型写像と言って良いであろう。 $ f\colon U\to V$ が双正則であるとき、 複素関数論的には $ U$$ V$ は同じ、ということである。

これは応用上も意味があることで、 例えば $ U$ ($ V$) における渦無し非圧縮流は、$ f$ ($ f^{-1}$) によって $ V$ ($ U$) における渦無し非圧縮流にうつる。 $ U$$ V$ の一方で流れの問題が解ければ、他方でも解けたことになる、等々。

同型写像というものを考えると、標準的なものに移すことが問題になるが、 複素関数論では、次の定理が基礎的である。

記号の紹介     複素平面の原点中心、半径 $ 1$ の開円盤を $ D_1$ で表す: $ D_1=D(0;1)=\left\{w\in\mathbb{C}\relmiddle\vert \vert w\vert<1\right\}$.


\begin{jtheorem}[Riemannの写像定理]
$U$ は $\mathbb{C}$ 内の単連結...
...の双正則写像 $\varphi\colon U\to
D_1$ が存在する。
\end{jtheorem}

$ \varphi$ のことを $ U$ の等角写像、$ U$の写像関数と呼ぶことがある。 (要するに、 「$ U$ の等角写像」とは、$ U$ から $ D_1$ への双正則な関数のことである。)


\begin{jremark}
\begin{enumerate}[(1)]
\item
条件 $U\ne\mathbb{C}$ は必要...
...数である($U$のmodulusと呼ばれる)。 \qed
\end{enumerate}\end{jremark}

上の定理の仮定のもとで、双正則写像 $ \varphi$ は一意的には定まらないが、 次の定理が成り立つ。


\begin{jproposition}[等角写像の正規化条件]
$U$ は $\mathbb{C}$ 内...
...像 $\varphi\colon U\to D_1$ が一意的に存在する。
\end{jproposition}

条件 (5.1) を正規化条件と呼ぶ。

複素平面 $ \mathbb{C}$内の任意の単純閉曲線 (Jordan曲線) $ C$ は、 ある有界領域 $ U$ を「囲む」が、$ U$ は単連結である。 こういう $ U$Jordan 領域と呼ぶ。 この場合は、 任意の双正則函数 $ \varphi\colon U\to D_1$ に対して、 同相写像であるような拡張 $ \widetilde{\varphi}
\colon \overline{U}\to \overline{D_1}$ が存在することが知られている (Caratheodry の定理)。

その場合は、 ポテンシャル問題を解くことで$ \varphi$ が求まることを説明しよう。

$ \varphi(z_0)=0$ となる $ z_0\in\Omega$ を取ると、 関数 $ f(z):=\dfrac{\varphi(z)}{z-z_0}$ は ($ z_0$ が除去可能特異点であるので) $ U$ で正則である。

$\displaystyle f(z_0)=\dsp\lim_{z\to z_0}\dfrac{\varphi(z)}{z-z_0}=\varphi'(z_0)\ne 0
$

であることに注意すると、$ f(z)\ne 0$. $ U$ は単連結であるから、 $ \log\frac{\varphi(z)}{z-z_0}$ の一価正則な分枝が存在する。 その実部・虚部を $ u$, $ v$ としよう:

$\displaystyle u(z):=\MyRe\log\frac{\varphi(z)}{z-z_0},\quad
v(z):=\MyIm\log\frac{\varphi(z)}{z-z_0}.
$

正則関数の実部であることから

(4.1) $\displaystyle \Laplacian u=0$   (in $ U$)$\displaystyle .
$

さらに

(4.2) $\displaystyle u(z)=-\log\left\vert z-z_0\right\vert$   ($ z\in\rd U$)

が成り立つ。実際、$ z\in\rd U$ のとき、 $ \varphi(z)\in\rd D_1$, すなわち $ \left\vert\varphi(z)\right\vert=1$ であるから

$\displaystyle u(z)=\MyRe\log\frac{\varphi(z)}{z-z_0}
=\log\left\vert\frac{\var...
...=\log\frac{1}{\left\vert z-z_0\right\vert}
=-\log\left\vert z-z_0\right\vert.
$

すなわち

(4.3) $\displaystyle u(z)=-\log\left\vert z-z_0\right\vert$   ($ z\in\rd U$)$\displaystyle .
$

これはポテンシャル問題であり、解が一意的に存在する。 こうして $ u$ が定まるが、 $ v$$ u$ の共役調和関数として定数差を除き定まる。 特に $ v(z_0)=0$ を満たすものを選ぶ。

このとき

$\displaystyle \varphi(z):=(z-z_0)\exp\left[u(z)+i v(z)\right]
$

$ U$から $ D_1$への双正則関数である。

桂田 祐史