課題3

次の(1)〜(5)からいずれか1つ選んでレポートせよ。
(1)
計算が困難であると予想される定積分を自分で選び、数値積分で値を求める。 DE公式を(も)使って下さい。
(2)
Euler のガンマ定数 $ \gamma$ は、普通 $ \dsp\gamma:=\lim_{n\to\infty}\left(\sum_{k=1}^n\frac{1}{k}-\log n\right)$ で定義されるが、この式で $ \gamma$ の値を計算するのは難しい。

(1) $\displaystyle \gamma=-\int_0^1\log\log\frac{1}{x}\;\D x$

が成り立つことが知られている。 この右辺を数値積分することで $ \gamma$ の近似値を求めよ。 (被積分関数 $ f(x)=-\log\log\dfrac{1}{x}$ がどういう関数か調べて、 注意して計算すること。) 結果を何らかの方法でチェックすること。 (1) がなぜ成り立つか調べることが望ましい。
(3)
ガンマ関数 $ \mathit{\Gamma}(x):=\dsp\int_0^\infty e^{-t}t^{x-1}\;\D t$ ($ x>0$) を数値積分することにより計算するプログラムを作り、 どういう範囲の $ x$ に対して、どの程度の精度が得られるか、調べよ。 被積分関数 $ e^{-t}t^{x-1}$ がどのような関数か、 理解した上で取り組むこと。

     (注) よく知られている関数等式 $ \mathit{\Gamma}(x)
=(x-1)\mathit{\Gamma}(x-1)$ を利用すると、 どこか都合の良い幅 $ 1$ の区間に属する $ x$ に対して数値積分で $ \mathit{\Gamma}(x)$ を求めれば良いことになる。

(4)
$ I=\dsp\int_a^b f(x)\;\Dx$ に対する数値積分公式では、 $ f$ の値のみ用い、$ f$ の導関数の値は使わないのが普通であるが、 $ f'$ の値を使って良いならば、補正台形公式と呼ばれる

$\displaystyle T_{N,\text{補}}:=T_N-\frac{h^2}{12}\left(f'(b)-f'(a)\right)
$

がある。台形公式 $ T_N$ と比べて、 $ T_{N,\text{補}}$ では精度がどれくらい改善されるか、 適当な被積分関数を選んで実験して調べよ。中点公式 $ M_N$ はどう補正すれば良いか。
(5)
$ \dsp\int_{-\infty}^\infty\frac{\Dx}{1+x^2}$ に対しては、 変数変換 $ x=\varphi_2(t):=\sinh\left(\frac{\pi}{2}
\sinh t\right)$ を用いた DE 公式が非常に有効である (講義で紹介するつもり)。 ところが、 $ I=\dsp\int_{-\infty}^\infty\frac{\cos x}{1+x^2}\Dx$ (値は $ \pi/e$) は、同じやり方では十分な精度が出ない。 被積分関数が無限個の零点を持っていることがその原因となるが、 そういう場合に有効な方法を大浦拓哉氏が発見した (1989年)。 これについてレポートせよ (論文は比較的簡単に探せる)。 (i) どのように計算するか、(ii) どういう被積分関数に対して有効か、 (iii) この方法が有効なのはなぜか、以上3点を説明し、 実際に数値計算して確認せよ。

参考: 大浦氏自身の作成した DE 公式のプログラムが、 http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~ooura/intde-j.htmlで公開されている (エンコーディングが日本語 EUC で文字化けしたりするな… intde2.c)。 「この論文はどうすれば手に入るか?」という質問はいつでも受け付ける (メール下さい)。

(6)
講義で説明した関数 $ f(x)=\dfrac{1}{1+25x^2}$ 以外の関数に対して (本質的に違うものを複数選んで実験すること)、 Rungeの現象が起こるかどうか調べよ。



Subsections
桂田 祐史
2020-07-14