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2.2.2.2 初期条件に対応する差分方程式

微分方程式の初期値問題

(2.4) $\displaystyle u_{tt}(x,t)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle u_{xx}(x,t)$   $\displaystyle \mbox{($(x,t)\in\R\times\R$)}$$\displaystyle ,$
(2.5) $\displaystyle u(x,0)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f(x)$   $\displaystyle \mbox{($x\in\R$)}$$\displaystyle ,$
(2.6) $\displaystyle u_t(x,0)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle g(x)$   $\displaystyle \mbox{($x\in\R$)}$

を解くことを目標としているが、 (2.7) に対応する差分方程式として、

$\displaystyle v(x,0)=f(x)
$

を採用するのは当然として、 (2.8) に対応する差分方程式として、ここでは

(2.7) $\displaystyle \frac{v(x,k)-v(x,-k)}{2k}=g(x)$

を採用する。

素朴に考えると

$\displaystyle u(x,k)\kinji u(x,0)+k u_t(x,0)=f(x)+k\psi(x)
$

であるから、

$\displaystyle v(x,k)=f(x)+k\psi(x)
$

なども考えられるところであるが、これは誤差が $ O(k)$ であり、 好ましくない。

また、菊地・山本 [5] では、$ t=0$ でも波動方程式が 成り立つと仮定して得られる

  $\displaystyle u(x,k)$ $\displaystyle \kinji$ $\displaystyle u(x,0)+k u_t(x,0)+\frac{k^2}{2}u_{tt}(x,0)$
    $\displaystyle =$ $\displaystyle u(x,0)+k u_t(x,0)+\frac{k^2}{2}u_{xx}(x,0)$
    $\displaystyle =$ $\displaystyle f(x)+k g(x)+\frac{k^2}{2}f''(x)$
    $\displaystyle \kinji$ $\displaystyle f(x)+k g(x)+\frac{k^2}{2}\frac{f(x+h)-2f(x)+f(x-h)}{h^2}$

から、

(2.8) $\displaystyle v(x,k)=f(x)+k g(x)+\frac{\lambda^2}{2}(f(x+h)-2f(x)+f(x-h))$

を推奨していた。

(2.9) は、$ 1$ 階中心差分近似という意 味は明白だが、一体 $ v(x,-k)$ はどうやって求めるのか?という疑問が生じる かもしれない。これについて、以下一つの回答を与える。それは上の菊地・山本 の仮定と同様に $ t=0$ でも波動方程式に対応する差分方程式が成り立つ、つま り $ t=0$$ Lv=0$ が成り立つと仮定することである:

$\displaystyle \frac{v(x,k)-2v(x,0)+v(x,-k)}{k^2}
=\frac{v(x+h,0)-2v(x,0)+v(x-h,0)}{h^2}.
$

これから

$\displaystyle v(x,k)+v(x,-k)=\lambda^2(f(x+k)-2f(x)+f(x-k))+2f(x).
$

この方程式と、(2.9) から得られる

$\displaystyle v(x,k)-v(x,-k)=2kg(x)
$

を連立すると、
  $\displaystyle v(x,k)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \frac{1}{2}\left[\lambda^2(f(x+h)-2f(x)+f(x-h))+2f(x)+2k g(x)\right]$
    $\displaystyle =$ $\displaystyle f(x)+kg(x)+\frac{\lambda^2}{2}(f(x+h)-2f(x)+f(x-h)).$

これは (2.17) と一致している。


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Masashi Katsurada
平成14年11月29日