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逆行列なんか、誰も使わない。。。
- 普通の掃き出し法 (Jordan の消去法)。
これは乗除算約 回が必要。
- Cramer の公式。 個の行列式が現れる。普通に計算すると
回の乗除算。丸め誤差の観点からも損。
- を掃き出し法で求めてから、 を計算する。
回の乗除算が必要になり、損。他の理由もあってダメ。
- Gauss の消去法。 回の乗除算で OK.
Gauss の消去法には、上に述べた以外にも、大きな長所がある。それは、係
数行列 が疎そである場合は、その性質を保ったまま計算しや
すく、従って問題がさらに効率的に解ける、ということである。例えば、
が三重対角行列である場合、逆行列を計算するのはやはり であるが、
Gauss の消去法を用いると、 で済む。
もしかすると、逆行列のファンである人(特に学生)は多いかもしれない。
大昔は、学生でなくても、連立一次方程式を解くには、まず逆行列を求めよう
とする人が多かった -- 現在、こんなことをしたら、研究者・技術者として、
化石扱いにされるのがオチである。
Gauss の消去法による、連立一次方程式の解法は、実際には LU 分解の形で
扱われることが多い。まず、前進消去の段階では、 を表す
から始めて、行に関する基本変形を繰り返すことによって、対角線よりも下の
部分に が並ぶ形を導く。これはある方程式を表現しているが、それを と書くと、 は上三角行列である。Gauss の消去法の後半部分である、
後退代入の原理は、「上三角行列を係数行列にもつ連立一次方程式は、簡単な
代入操作で解ける」ということである。
実は、基本変形は、左から基本行列と呼ばれる行列を掛けることに他ならな
いが、今の場合は、ある下三角行列 が存在して、
となる。
, を記憶しておくと、別の が与えられた時に、 の解
を
として計算できる。
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Masashi Katsurada
平成17年6月2日