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4.5 次数と段数

次数を大きくしようとすると、 普通は $ f$ の値の計算回数 (段数, stage) が増えることになる。

公式の範囲を限定して、 段数 $ s$ を与えたとき、 可能な最高の次数 $ m$ を、 到達可能次数 (到達可能位数) と呼ぶ (Butcher による)。

$ m$ の下からの評価は、 少なくとも一つの $ m$ 次公式を作ることによって得られるが、 $ m$ の上からの評価は $ s$ 元連立代数方程式の解の不存在証明なので、 $ s$ が大きくなると急激に困難になる。

陽的 Runge-Kutta 型公式の場合には、 $ s\le 8$ までの場合に到達可能次数が分かっているという (一松 [10]10)。
到達可能次数
段数 $ s$ $ 1$ $ 2$ $ 3$ $ 4$ $ 6$ $ 7$ $ 9$ $ 10$                    
到達可能次数 $ m$ $ 1$ $ 2$ $ 3$ $ 4$ $ 5$ $ 6$ $ 7$ $ 8$                    

ここで $ m\ge 5$ のとき $ s>m$ となることに注意しよう (この事実が 4次の Runge-Kutta 法が人気のある理由の一つである)。

なお陰的 Runge-Kutta 型公式では、 $ s$ 段で $ 2s$ 次を到達する公式が存在することが分かっている。


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Masashi Katsurada
平成23年4月29日