4.1 はじめに

物理学に疎い人にはピンと来ないかもしれないが、 Newtonの運動方程式が2階の微分方程式である、という話をする。


力学においては、Newton の運動の三法則というのが基本である。 そのうちの第二法則は、Newtonの運動方程式とも呼ばれるもので、 言葉で書くと「質量かける加速度$ =$力」という内容である。

質点の運動の場合、時刻 $ t$ における質点の位置を $ \bm{x}(t)$ で表すと、 加速度は $ \frac{\D^2\bm{x}}{\D t^2}(t)$ であるから、運動方程式は

(33) $\displaystyle m\frac{\D^2\bm{x}}{\D t^2}(t)=\bm{f}(t)$

と表せる。ただし質点が受ける力を $ \bm{f}(t)$ と表した。

$ \bm{f}$ が既知とすれば、これは2階の微分方程式である。


この後に説明する、2階の微分方程式を1階の微分方程式に書き直す方法が適用できる。 ある意味でフライングになるが、それをやってみよう。

(34) $\displaystyle \bm{y}(t):=\frac{\D\bm{x}}{\D t}(t),\quad \bm{X}(t):=\begin{pmatrix}\bm{x}(t) \bm{y}(t) \end{pmatrix}$

とおくと(33)は次の方程式に書き換えらる。

$\displaystyle \frac{\D\bm{X}}{\D t}(t)
=\begin{pmatrix}
\dfrac{\D\bm{x}}{\D t...
...ix} =\begin{pmatrix}
\bm{y}(t) [1ex]
\dfrac{1}{m}\bm{f}(t)
\end{pmatrix}.
$

(35) $\displaystyle \bm{F}(\bm{X},t) :=\begin{pmatrix}\bm{y} \dfrac{1}{m}\bm{f}(t) \end{pmatrix}$

とおくと、

(36) $\displaystyle \frac{\D\bm{X}}{\D t}(t)= \bm{F}(\bm{X}(t),t).$



桂田 祐史