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2.6 シフト法

既に得られている近似固有値の精度を改良したい、あるいは、ある指定した 値に最も近い固有値を求める方法である。

行列 $ A$ の固有値 $ \lambda_i$ に対する近似固有値 $ \lambda_i'$ が分かっ ているとしよう。この時、

$\displaystyle A' = A - \lambda_i' I
$

の固有値は

$\displaystyle \lambda_1-\lambda_i', \lambda_2-\lambda_i', \cdots, \lambda_n-\lambda_i'
$

となる。 $ \lambda_i'$ $ \lambda_i$ の近似値ということで、絶対値が最小 なのは $ \lambda_i-\lambda_i'$ であると期待できる。よって、$ A'$ に対し て逆反復法を適用すれば、この値(それを $ \Delta\lambda$ とおこう)が高精 度に計算できる。こうして

$\displaystyle \lambda_i := \lambda_i' + \Delta\lambda
$

により $ \lambda_i$ が求まる。


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桂田 祐史
2015-12-22