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9.1 正則な行列束に関する一般化固有値問題の定義

$ A$ , $ B\in\C^{n\times m}$ とするとき、

$\displaystyle \{A-\lambda B;\lambda\in\C\}
$

を行列束と呼ぶ。

行列束 $ \{A-\lambda B\}$ が正則であるとは、 $ A$ $ B$ が同じ次数の正方行列であり、かつ

$\displaystyle \exists\lambda\in \C$   s.t.$\displaystyle \quad \det(A-\lambda B)\ne 0
$

が成り立つことと定義する。そうでないとき、行列束は特異であると定義する。

正則な行列束 $ \{A-\lambda B\}$ に対して、

$\displaystyle A x=\lambda B x,\quad x\ne 0
$

を満たす $ x$ が存在するような $ \lambda$ の値と、 そのときの $ x$ を求める問題を一般化された固有値問題と呼ぶ。

$\displaystyle {\rm sp}[A,B]\DefEq \{\lambda\in\C; \det(A-\lambda B)=0\}.
$

とおき、 $ {\rm sp\;}[A,B]$ の元を、行列束の固有値と呼ぶ。

応用上は $ A$ , $ B$ が対称で、特に $ B$ が半正定符号であることが多い。


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桂田 祐史
2015-12-22