2.2 補間型数値積分公式

区間 $ [a,b]$ から標本点 $ x_1, \dots,x_n$ を選び出したとき、 関数 $ f$ の補間多項式 $ f_n(x)$ が定まるが、 それは多項式であるから、

$\displaystyle I_n(f):=I(f_n)$ (9)

は容易に計算でき、整理すると既に紹介した

$\displaystyle I_n(f)=\sum_{k=1}^n A_k f(x_k)$ (再掲 (2))

の形になる。 これを $ I(f)$ の近似に採用したものを補間型数値積分公式と呼ぶ。

小さい $ n$ に対して名前がついている。それを紹介しよう。 (授業では、図を板書すること。)

中点公式
$ [a,b]$ の中点を標本点に採用する。 $ f_1(x)=f\left(\frac{a+b}{2}\right)$0 次多項式 (定数) である。

$\displaystyle I_1(f)=h f\left(\frac{a+b}{2}\right),\quad h:=b-a.$ (10)

台形公式
$ [a,b]$ の端点 $ a$, $ b$ を標本点に採用する。 $ f_2(x)$ は1次関数であり、$ I_2(f)$ は台形の面積を表す。

$\displaystyle I_2(f)=\frac{h}{2}\left(f(a)+f(b)\right),\quad h:=b-a.$ (11)

Simpson公式
$ [a,b]$ の端点 $ a$, $ b$ と中点 $ \frac{a+b}{2}$ を標本点に採用する。 $ f_3(x)$ は2次関数である。

$\displaystyle I_3(f)=\frac{h}{3}\left(f(a)+4f\left(\frac{a+b}{2}\right)+f(b)\right), \quad h:=\frac{b-a}{2}.$ (12)

Simpson $ \frac{3}{8}$公式
$ [a,b]$ を3等分したときの4点を標本点に採用する。 $ f_3(x)$ は3次関数である。-- この公式は実は使われない。

$\displaystyle I_4(f)=\frac{3h}{8} \left(f(a)+3f\left(\frac{2a+b}{3}\right)+3f\left(\frac{a+2b}{3}\right) +f(b)\right), \quad h:=\frac{b-a}{3}.$ (13)

これらの公式の導出は、一般的に行うことも出来るが、 実際に使われるのは、 $ n=1,2,3$ までなので、気張らないことにして省略する (やれば出来る)。 $ n\ge 4$ の場合はほとんんど使われない (というか、実は $ n=3$ の場合もあまり使われない)。

数値積分公式が $ m$ 位の公式 ($ m$ 次の精度) であるとは、 関数 $ f$ の数値積分公式の誤差を $ E(f)$ と書くとき、

$\displaystyle E\left(x^k\right)=0$   ( $ k=0,1,\dots,m$)$\displaystyle ,\quad E\left(x^{m+1}\right)\ne 0$ (14)

が成り立つことをいう。

補間型数値積分公式 $ I_n(f)$ は作り方から、少なくとも $ n-1$ 位の公式であるが、 実は $ n$ が奇数のとき、$ n$ 位の公式である。 例えば、 中点公式 $ I_1(f)$ と台形公式 $ I_2(f)$ はともに$ 1$位の公式で、 Simpson公式 $ I_3(f)$ とSimpson $ \frac{3}{8}$公式 $ I_4(f)$ は ともに$ 3$位の公式である。



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桂田 祐史