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5.6 渡部隆行『棒の振動』

一様な棒が振動するとき、変位 $ u=u(x,t)$ は、適当な単位を選択した場合、 微分方程式

$\displaystyle u_{tt}+u_{xxxx}=0$   $\displaystyle \mbox{($(x,t)\in(0,\pi)\times(0,\infty)$)}$

に従う。 この方程式の初期値境界値問題の研究をテーマとした。 これは波動方程式に少し似ていて、 有名な Cournat-Hilbert にも取り上げられている。

境界条件としては次のいずれかを考える。

(a)
両端固定境界条件

(1) $\displaystyle u(0,t)=u_x(0,t)=u(\pi,t)=u_x(\pi,t)=0$   $\displaystyle \mbox{($t\in(0,\infty)$)}$

(b)
両端支持境界条件

(2) $\displaystyle u(0,t)=u_{xx}(0,t)=u(\pi,t)=u_{xx}(\pi,t)=0$   $\displaystyle \mbox{($t\in(0,\infty)$)}$

(c)
両端自由境界条件

(3) $\displaystyle u_x(0,t)=u_{xx}(0,t)=u_x(\pi,t)=u_{xx}(\pi,t)=0$   $\displaystyle \mbox{($t\in(0,\infty)$)}$

これらは「対称性の条件」を満たしていることが分かる。例えば、 $ \varphi,\psi$ が固定境界条件

$\displaystyle \varphi(0)=\varphi'(0)=\varphi(\pi)=\varphi'(\pi)=0,\quad
\psi(0)=\psi'(0)=\psi(\pi)=\psi'(\pi)=0,
$

を満たしているのならば、

$\displaystyle \left(A\varphi,\psi\right)=(\varphi,A\psi)
$

が成り立つ。ここで微分作用素 $ A$ と内積 $ (\cdot,\cdot)$ は、

$\displaystyle A f:=f'''',\quad (f,g):=\dsp\int_0^{\pi}f(x)\overline{g(x)}\Dx
$

で定義されるものとする。 これから、固有値が実数であることと、 異なる固有関数に属する固有関数が互いに直交することが分かる。

$\displaystyle u(x,0)=\phi(x),\quad u_t(x,0)=\psi(x)$   $\displaystyle \mbox{($x\in[0,\pi]$)}$

(a) の場合の固有値は、方程式

$\displaystyle \cos\nu=\frac{1}{\cosh \nu}
$

の正の解である。それを大きさの順に

$\displaystyle \nu_1<\nu_2<\cdots
$

と並べたとき、 $ \nu_n\kinji n+1/2$ ($ n\in\N$ ). 固有値 $ \nu$ に属する固有関数は

$\displaystyle \varphi(x)=...
$

である。

(b) の場合の固有値は $ \nu_n=n$ ($ n\in\N$ ) であり、それに属する固有関数は

$\displaystyle \varphi(x)=\sin n x
$

である。

(c) の場合の固有値は、方程式

$\displaystyle \cos\nu=\frac{1}{\cosh \nu}
$

の正の解である。それを大きさの順に

$\displaystyle \nu_1<\nu_2<\cdots
$

と並べたとき、 $ \nu_n\kinji n+1/2$ ($ n\in\N$ ). 固有値 $ \nu$ に属する固有関数は

$\displaystyle \varphi(x)=..
$


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桂田 祐史
2015-12-24