何か意味のあるプログラムを書かないと前進できない、と思ったので、 Julia で常微分方程式の初期値問題を解いてみることにした。
(埋め込み型公式のまともなプログラムとか、構造保存型数値解法とか、 本当は、常微分方程式で色々勉強しなければいけないことがたまっている。 ゼミ生誰かやらないかなあ、とか考えている。)
安直にボール投げ (このところ試しプログラムはこれを使っている)。 計算部分は、まあまあ納得出来た (http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/labo/text/julia-memo/node46.html)。
http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/misc/20191228/ballbound.jl |
# ballbound.jl --- 投げたボールのバウンド, 空気抵抗ありのシミュレーション # Runge-Kutta 法の1ステップ function rungekutta(f,t,x,dt) k1=dt*f(t,x) k2=dt*f(t+dt/2, x+k1/2) k3=dt*f(t+dt/2, x+k2/2) k4=dt*f(t+dt, x+k3) x + (k1 + 2 * k2 + 2 * k3 + k4) / 6 end function f(t,x) Gamma=1.0 m=100.0 g=9.8 y=similar(x) y[1] = x[3] y[2] = x[4] y[3] = -Gamma/m*x[3] y[4] = -g-Gamma/m*x[4] y end function ballbound(n=1000) # 1000等分くらい t=0.0 v0=50.0 theta=50.0 x=[0.0,0.0,v0*cos(theta*pi/180),v0*sin(theta*pi/180)] println("t x") println("$t $x") Tmax=20.0 dt=Tmax/n println("Tmax=$Tmax, dt=$dt") s=@sprintf "%f %f %f %f %f\n" t x[1] x[2] x[3] x[4] print(s) of = open("ballbound.dat","w") print(of,s) for i=1:n # x=euler(f,t,x,dt) x=rungekutta(f,t,x,dt) if x[2]<0 x[2] = - x[2] x[4] = - x[4] end t=i*dt s=@sprintf "%f %f %f %f %f\n" t x[1] x[2] x[3] x[4] print(s) print(of,s) end close(of) # 以下は工事中 of = open("ballbound.gp","w") println(of,"plot \"ballbound.dat\" using 2:3 with lp") close(of) run(`gnuplot ballbound.gp`) end |
ターミナルで
curl -O http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/misc/20191228/ballbound.jl juliaJulia の中で using Printf include("ballbound.jl") ballbound(1000) |
ボールの軌跡を描くためにとりあえず gnuplot, と考えたのだけど (学生は意外と gnuplot に慣れていることが分かった、 と言うのもある)、 Julia で pipe をどう扱えば良いのか分からなかったので (笑)、 原始的にまず全部データをファイルに書いて、 それから gnuplot を起動している。 安直 (締め切りに間に合わせるため)。
冬季休暇に入って数日、 やっと仕事が一段落したので、まともな可視化について考え始める。 最初は予定になかったけれど、(1) pipe で gnuplot をコントロールする、 というのをやって、それと (2) Plots を使って、 この2つくらいはとりあえず目処をつけよう。
(1) gnuplot に描かせる
ずっと以前 gnuplot を調べたとき、何とか見つけられたことは (「Cから gnuplot を呼び出す」)、 今では常識的なことになっているみたいだ。
暮れに出席した講習会 (http://www.isc.meiji.ac.jp/~akiyama_masakazu/#section16) のスライドから、
関数のグラフ描画 (C プログラムから gnuplot を呼び出す) |
FILE *gp;//For gnuplot gp = popen("gnuplot --persist","w"); fprintf(gp, "set terminal x11\n"); fprintf(gp, "plot sin(x)\n"); fflish(gp); pclose(gp); |
数値データのプロット (C プログラムから gnuplot を呼び出す) |
FILE *gp;//For gnuplot gp = popen("gnuplot --persist","w"); fprintf(gp, "set terminal x11\n"); ... fprintf(gp, "set yrange [ここから:ここまで]\n"); fprintf(gp, "plot '-' with liens\n"); ... fprintf("gp, "%f %f\n", なんとか, かんとか); ... fprintf("gp, "e\n"); fflish(gp); pclose(gp); |
Julia の version 0.6 くらいまでは、 readandwrite() とかいう関数があったらしいけれど、 今はなくなっていて、 どうすれば良いか説明した明快な文書が見つからなかった。
難しいときは、簡単なところから (Julia から bc を使う) |
p=open(pipeline(`bc`; stderr=Pipe()), "r+") nb=write(p.in,"2*3\n") s=readline(p.out)原始的な電卓プログラム bc に、2*3 を入力して、 返事を読み取る。s には "6" が返る。 |
(bc を実際的な意味で使う人は今では少ないでしょうか。 bc には、良くこういう役が回ってきますね。 「たまに呼ばれると、いつもこんな役なんですよ」とか言いそう。)
では、gnuplot でやってみる。 関数のグラフを描く方は簡単で、例えば次のようにすれば良い。
関数のグラフ描画 (コピペすれば動くはず) |
p=open(pipeline(`gnuplot`; stderr=Pipe()), "r+") write(p.in,"plot sin(x)\n") |
数値データのプロットについて、最初に成功したのは次のようなコード。
数値データのプロット (コピペすれば動くはず) |
using Printf p=open(pipeline(`gnuplot --persist`; stderr=Pipe()), "r+") write(p.in,"plot '-' with lp\n") n=100 dx=2*pi/n for i=0:n x=i*dx @printf(p.in, "%f %f\n", x, sin(x)+sin(3*x)/5.0) end s=@sprintf "e\n"; write(p.in,s);最後は flush(p.in) とか、close(p) とかするのかな? |
人間が読まないのならば、書式など不要だろうから (と考えるのだけれど、どうだろう?)、 次のようにしても良いかもしれない。 println() しか使っていない。 これなら using Printf も要らない。
p=open(pipeline(`gnuplot --persist`; stderr=Pipe()), "r+") println(p.in, "plot '-' with lp") n=100 dx=2*pi/n for i=0:n x=i*dx println(p.in,"$x $(sin(x)+sin(3*x)/5.0)") end println(p.in,"e") |
ここまで進めて、以下が ballbound.jl の pipe バージョンである。
http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/misc/20191228/ballbound-v3.jl |
# ballbound-v3.jl --- 投げたボールのバウンド, 空気抵抗ありのシミュレーション # Runge-Kutta 法の1ステップ function rungekutta(f,t,x,dt) k1=dt*f(t,x) k2=dt*f(t+dt/2, x+k1/2) k3=dt*f(t+dt/2, x+k2/2) k4=dt*f(t+dt, x+k3) x + (k1 + 2 * k2 + 2 * k3 + k4) / 6 end function f(t,x) Gamma=1.0 m=100.0 g=9.8 y=similar(x) y[1] = x[3] y[2] = x[4] y[3] = -Gamma/m*x[3] y[4] = -g-Gamma/m*x[4] y end function ballbound3(n=1000) # 1000等分くらい t=0.0 v0=50.0 theta=50.0 x=[0.0,0.0,v0*cos(theta*pi/180),v0*sin(theta*pi/180)] println("t x") println("$t $x") Tmax=20.0 dt=Tmax/n println("Tmax=$Tmax, dt=$dt") p=open(pipeline(`gnuplot --persist`; stderr=Pipe()), "r+") println(p.in, "plot '-' with lines title \"n=$n\""); println(p.in, "$(x[1]) $(x[2])") for i=1:n # x=euler(f,t,x,dt) x=rungekutta(f,t,x,dt) if x[2]<0 x[2] = - x[2] x[4] = - x[4] end t=i*dt # @printf(p.in, "%f %f\n", x[1], x[2]) println(p.in, "$(x[1]) $(x[2])") end println(p.in, "e") flush(p.in) println(p.in, "set term png"); println(p.in, "set output \"ballbound3.png\""); println(p.in, "replot"); println(p.in, "quit") flush(p.in) close(p) end |
Julia と gnuplot (と curl) が使えるならば、次のようにして試せる(はず)。
ターミナルで |
curl -O http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/misc/20191228/ballbound-v3.jl julia include("ballbound-v3.jl") ballbound3(1000) |
(2) Plots を使って
gnuplot は、(a) とりあえず描きたい場合、 (b) 他の手段で描けないときの最後の手段、のようなもので、 Plots を使って描けるようになりたい。
ballbound_v4.jl |
# ballbound_v4.jl --- 投げたボールのバウンド, 空気抵抗ありのシミュレーション #= curl -O http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/misc/20200102/ballbound_v4.jl julia ENV["GKS_ENCODING"] = "utf-8" using Plots gr() include("ballbound_v4.jl") ballbound_v4() =# # Runge-Kutta 法の1ステップ function rungekutta(f,t,x,dt) k1=dt*f(t,x) k2=dt*f(t+dt/2, x+k1/2) k3=dt*f(t+dt/2, x+k2/2) k4=dt*f(t+dt, x+k3) x + (k1 + 2 * k2 + 2 * k3 + k4) / 6 end function f(t,x) Gamma=1.0 m=100.0 g=9.8 y=similar(x) y[1] = x[3] y[2] = x[4] y[3] = -Gamma/m*x[3] y[4] = -g-Gamma/m*x[4] y end function ballbound_v4(n=1000) # 1000等分くらい t=0.0 v0=50.0 theta=50.0 x=[0.0,0.0,v0*cos(theta*pi/180),v0*sin(theta*pi/180)] println("t x") println("$t $x") Tmax=20.0 dt=Tmax/n println("Tmax=$Tmax, dt=$dt") xs=zeros(n+1) ys=zeros(n+1) #println("$(x[1]) $(x[2])") xs[1] = x[1]; ys[1] = x[2] for i=1:n # x=euler(f,t,x,dt) x=rungekutta(f,t,x,dt) if x[2]<0 x[2] = - x[2] x[4] = - x[4] end t=i*dt # @printf("%f %f\n", x[1], x[2]) xs[i+1]=x[1]; ys[i+1] = x[2] end p=plot(xs,ys,title="速度に比例する抵抗を受けるボール投げ", xaxis=("x",(0.0,xs[n+1])),yaxis=("z",(0.0,findmax(ys)[1]))) display(p) println("図を保存する") savefig("ballbound.pdf") savefig("ballbound.png") display(p) end |
グラフを描くこと自体はとても簡単だったが、 日本語タイトルをつけようとして、ちょっと苦戦した。 Plots と GR バックエンドでは日本語表示は出来ない、という書き込みも見た。 ENV["GKS_ENCODING"] = "utf-8" とすれば良い、 という情報を得て、無事表示出来たのだけれど…
試してみよう |
$ curl -O http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/misc/20200102/ballbound_v4.jl $ julia julia> ENV["GKS_ENCODING"] = "utf-8" julia> using Plots julia> gr() julia> include("ballbound_v4.jl") julia> ballbound_v4()日本語文字列をタイトルにする: https://github.com/JuliaPlots/Plots.jl/issues/791 |
図は、タイトルも含めて画面にはきちんと描くことができるが、 保存するときに GKS: invalid bitmap size と表示されて、 タイトルが化けたり、空白になったりする。 以下の図は、savefig() で保存したものではない。
もう一息なのかな?
桂田 祐史