昨日の情報処理2で学生から質問あり。
レポート課題で、Mathematica に教科書の問題を解かせるなりして、 Mathematica が間違えた例を見つけて、その理由を考えてみなさい、 というのを出してあるのだけど (この課題は毎年出しているのですが、 最近はやってくれる人が少ないです)、その流れで
という広義積分について、本には (ちらと見たら高木貞治「解析概論」ぽかった…後で確認出来ました) 収束すると書いてあるけれど、Mathematicaは発散すると答えを出します、 これがMathematicaの間違えている例になるでしょうか、との質問。
忙しかったので、Mathematica おかしいみたいですね、時間がないのでまた今度、 と言ったのですが、今日になって気がつきました。このちょっと難し目の積分、 どうやって計算するか、昨年研究発表を聴いたことがあるのでした。
大浦拓哉, ある非有界無限区間積分の高速高精度計算
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~ooura/papers/toda53a.pdf
被積分関数ぱっと見は分母に があって、遠方で小さくなりそうですが、 があるせいで、分母が のところで になるので、 関数値自体は になって全然小さくなってくれない。 というわけで積分の収束を証明するだけでも大変です。 上の論文には収束の確認は、Goursat と G. H. Hardy による、 とあります。 偉い人二人の名前が出て来る由緒正しい積分だったわけですね。 それが高木先生の解析概論に載っていた、と。
高木先生の放ったボールを学生がキャッチ。ちょっと楽しい出来事でした。
ちなみに、この収束証明もやさしくない広義積分、実は100万桁以上計算した、 というのが上の論文の内容です(かなりすごい)。