 
 
 
 
 
   
最初に二つの言葉を定義する。
行列 
 が下三角行列 (lower triangluar
matrix) であるとは、対角線の上にある成分がすべて 0
 である、つまり
 が下三角行列 (lower triangluar
matrix) であるとは、対角線の上にある成分がすべて 0
 である、つまり
 
が成り立つことと定義する。
同様に、
 が上三角行列 (upper triangular
matrix) であるとは、
対角線の下にある成分がすべて 0
 である、つまり
 が上三角行列 (upper triangular
matrix) であるとは、
対角線の下にある成分がすべて 0
 である、つまり
 
が成り立つことと定義する。
目で見えるように書くと
 
ということである。
| LU 分解 | 
| 行列  に対して、 
   を満たす下三角行列  と上三角行列  を求めることを
(これはいつもできるとは限らない -- 後述)、  を LU 分解すると呼ぶ。 | 
Gauss の消去法の前進消去段階では、
係数行列に行に関する基本変形を施して上三角行列 (それを  とおく) に
変形したが、
行に関する基本変形は、基本行列を左からかけることで表現できる。
Gauss の消去法では、これら基本行列はすべて正則な下三角行列である。
そこで、この変形は
 とおく) に
変形したが、
行に関する基本変形は、基本行列を左からかけることで表現できる。
Gauss の消去法では、これら基本行列はすべて正則な下三角行列である。
そこで、この変形は
 
    
とかける。これから
 
となるが、
 は実は下三角行列である。
これは次の補題から分かる。
 は実は下三角行列である。
これは次の補題から分かる。
| ![\begin{jlemma}\upshape
\begin{enumerate}[(1)]
\item
下三角行列全体は...
...行列全体
は乗法について群をなす)。
\end{enumerate}\end{jlemma}](img103.png)  | 
さて、それでは Gauss の消去法はいつでも出来るかというと、 (掃き出し法との類推ですぐ分かるように) 対角成分に 0 が現われたらダメになるわけである。 この場合は、行を適当に交換することで消去が出来るようになる。
|   | 
正則行列  の LU 分解はたとえ存在しても一意ではないが、
 の LU 分解はたとえ存在しても一意ではないが、
 を
 を


 
の形に分解する LDU 分解は一意である。
 
 
 
 
