Next: 1.4 二分法
Up: 1 方程式の数値解法
Previous: 1.2 例題の説明
コンピューターで方程式を扱う場合、
コンピューターならではのやり方があります。
有限回の計算で真の解 (無限精度の解,
「厳密解」 (exact solution) とも呼ばれる) を求めることはあきらめて、
真の解を求めるには無限回の演算が必要になるけれど、
有限の要求精度を持つ近似解は、そこそこの回数の基本的な演算
(四則演算)
で求まるような方法を採用する、
というものです。
従って、アルゴリズムは大抵の場合、
繰り返しのあるもの -- 反復法 -- になります。
コンピューターによる方程式の数値解法は「繰り返し」が鍵
- 線型方程式 (1次方程式) でも、
未知関数の個数
が非常に大きい問題の解法には、反復計算が使われます。
例えば
(原子炉圧力容器の構造計算とか4) のとき、消去法計算は無理です。
- 非線型方程式の場合、
問題の自由度が低くても反復計算になる場合がほとんどです。
- 有限回の四則では exact (厳密) に解けない問題がほとんど。
- 「反復法」で多くの問題が解ける。
すなわち、真の解
をある列
の極限としてとらえ
(
)、 十分大きな
に対して
を
の近似として採用する。近似解ではあるが、
コンピューターで数値計算する限り、
有限精度であることは避けられないので、
exact な方法 (もしそれがあったとして) とほとんど差がない5。
厳密解の「厳密」は、論理的に厳密というのとは関係がなくて、
論理的に厳密であることと、近似解であることは相反するものではない、
という言い方も出来るでしょう。
Next: 1.4 二分法
Up: 1 方程式の数値解法
Previous: 1.2 例題の説明
桂田 祐史
2012-05-30