 
 
 
 
 
   
円周率を逆三角関数の値を元にして表現し、 逆三角関数をテイラー展開で計算するという公式が現れました。 有名なものは、 「グレゴリー級数」または「ライプニッツ級数」とも呼ばれる
この (2) は、 現在の数学のカリキュラムでは、 微積分を用いて、 いわゆる Taylor 展開
 
として理解するのが普通ですが、 驚いたことに微積分がなかった 1400 年頃のインドで発見されていた (発見者はマーダヴァという名前だとか) ことが分かっています。
| 余談 | 
|  の計算には 
   も使われた (L. Euler が使ったのが有名)。 また Newton が発見した 
   も利用できる。 
なお  
   は Euler の 1737 年の発見ということになっているが、 江戸時代の和算家たけべかたひろ建部賢弘の 1722 年のてつじゅつさんけい綴術算経に載っている。 | 
実は (7) は、 収束が遅すぎて (項数を非常に大きく取らないと良い近似値が得られない) 実用的ではありませんが、
 の
 の  を用いるとずっと実用的
 を用いるとずっと実用的
| 挑戦者達 | |||||||||||||||
| Abraham Sharp (1651-1742) 
   
 
 
 John Machin (1680-1752, ロンドン大学天文学教授) は 1706 年に 
   を用いて 100 桁の値を計算した。 以後この公式は多くの人達に採用されることになる。 William Shanks (1812-1882) が 707 桁計算したのが有名 (567 桁までが正しかった)。 
 
 L. Euler (1707-1783, スイスの Basel に生まれ、 ロシアの Petersburg に没する) は 1737 年に以下の公式を得た。 
   
 Charles Huttion (1737-1823) は 1776 年に次の結果を得た。 
 有名な C. F. Gauss (Johann Carl Friedrich Gauss, 1777-1855) は、 
   
 
   を発見した (1863年)。また 9 項からなる公式 
 も得ていたとか (ちょっと唖然としますね -- もっとも並列計算でもしないと速くなりませんが)。 1896年にF. C. M. Störmer が得た次の公式は、 金田・うしろ後の世界記録 (2002) の検証計算にも使われたもので、 高い効率を実現します7。 
   
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この解説を最初に書いた 2007年時点での円周率計算の世界記録は、 金田 康正, うしろ後 やすのり保範等の グループによるものでした (2012年現在の時点でどうなっているかは後述)。 これは 2002年に 1 兆 2400 億桁計算したというものですが、 そこでは、高野喜久雄8氏による公式 (1982)
 
を用いたそうです (共立出版の雑誌 bit 1983年4月号への寄稿に、 この公式発見のいきさつが書いてあります)。
 
 
 
 
