かつらだ桂田 まさし祐史
Date: 2012年5月23日
今回の話は、表向きは、由緒正しく、定番の Taylor 展開の計算です。
数学と縁を持ったのならば、 一生に一回くらいは、 円周率の計算で遊んでみるのが良いと思っています。 幸い十進 BASIC を使うと、 古人の試みをかなり簡単に目の前のコンピューターで再現することができます 1。
円周率の計算法には、比較的素朴なものから、 かなり高度な理論を使うものまで色々あり、 それらすべてを理解するのは大学2年次の段階でも困難ですが (正直に白状すると、 私も理解していないことが沢山あります -- 専門家でもないですし)、 微積分で学んだテイラー展開を用いる方法 (それ以前の方法となると、 一気に紀元前のアルキメデスの方法 (A.2.1 参照) に遡ります) は手頃であり、 学ぶ価値がある「古典」と言えるでしょう。 また「高級な」理論に基づく方法も、 計算に用いる手順そのものは簡単なので、プログラムを書いて走らせてみて、 その凄さを体験することは可能です。
脱線 まだ現在のように整備されていなかった時代の数学をきちんと理解するには、 当時の人達の計算を追体験することが有益というか必要だと信じています。 ただ当時のやりかたそのままで計算するのは非常に骨が折れるので、 適度にコンピューターを利用するのが有効です (その際、自分でプログラムを書くことが大事です)。 コンピューターによる数値計算は、 微分方程式の数値シミュレーションが強調されることが多いですが、 数学史での利用も大いに考えるべきだ、と思っています。 (あまり大きな声では言えませんが、 計算の確認を怠ってトンチンカンなことを書いている人がいたりします。)