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A..2 連立1次方程式の解法概説

コンピューターで行われる数値計算の時間の 90% は連立1次方程式を解いて いる時間だという説があるくらい、連立1次方程式は頻出する問題である。例え ば微分方程式の問題も、離散化 (有限次元近似) された後は連立1次方程式を解 くことに帰着されることが多い6。ところがこのように工学的な応用で、連 立1次方程式を解くために実際に利用されている方法は (ほとんどの) 線形代数 の本には載っていない。

実際に利用される解法は色々あるが、大きく次の二つに分類される (直接法以外知らない、見当もつかない人が多いと思われるが、 それで構わない)。 以下では直接法について、やや詳しく説明する。

直接法 (exact method)
もし個々の演算に丸め誤差がなければ、有限回の演算で解が得られる方法
反復法 (iterative method)
有限回の演算では真の解が得られないかもしれないが、 反復するごとに近似解の精度を上げて行き、 十分な精度が得られたところで打ち切る方法


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Masashi Katsurada
平成20年10月18日