Next: C.
Up: B. 線形計算ソフトウェアの発展 (駆け足説明)
Previous: なぜ高い実行効率が得られるか
B..2 MATLAB とその互換システムの登場
MATLAB は EISPACK の開発にも関わった C.Moler が作成したシステムで、
彼が創立した MathWorks 社から販売されている。
MATLAB の特徴 |
- インタープリター型言語である。そのため16、
- 対話的で使いやすいシステムになっている。
- 注意深く利用しないと実行効率が低くなる17 (個々の命令の実行時に命令解釈のコストが必要なため、
繰り返し処理を多用すると計算時間が長くなりがちである)。
- LAPACK などの各種数値計算ライブラリィを内蔵している (これらのライブラ
リィ群へのインターフェイスであると理解すべきかもしれない)。
- ベクトル、行列などのデータの型が始めから定義されているので、
命令が簡潔になっていて、プログラミングも楽になった
18。
|
MATLAB をいかに評価するかであるが、筆者は最近
案外大したものではないか、ひょっとするとコロンブスの卵で大発明?
と考えるようになった。
このようなシステムを作るのは実は簡単で (実際、以下紹介するように
「真似」がたくさん出て来た)、しかし使ってみると分るが、
非常に便利である。
日本の数学界ではあまり人気がない (というか知られていない) ようであるが、
工学の世界では浸透している。
MATLAB は現在も改良が続けられていて、
行列計算関係では、
疎行列向けの処理や反復法なども採り入れられている。
簡単な偏微分方程式のシミュレーションへの応用も十分可能なレベルに成長した。
MATLAB を後を追ったシステムがたくさん開発されたが、
MATLAB の言語仕様は「準標準」となっている。MATLAB と似たシステムとして、
Octave を紹介する。
これは MATLAB との互換性が高く、
残念ながら疎行列専用の処理が用意されていないが、
入門には十分であるし、用途を選べば実用性も高い。
Next: C.
Up: B. 線形計算ソフトウェアの発展 (駆け足説明)
Previous: なぜ高い実行効率が得られるか
Masashi Katsurada
平成20年10月18日