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B..1 数式モードとそれ以外のモードを混同しない

plain TEX の $, $$ コマンド、 LATEX の \(    \) コマンド、 \[    \] コマンドや equation, eqnarray 環境などで数式モードと呼ばれる モードになることは使い始めた人は誰でも知っていると思いますが、 使い方を誤解している人がかなりいます。

数式は必ず数式モードで扱うべきものです。例えば

\begin{itembox}[l]{ソース}
\begin{verbatim}係数を $a,b,c$ はいずれも実数であり、$a\ne 0$ とする。\end{verbatim}\end{itembox}

\begin{itembox}[l]{組版の結果}
点 (x,y,z) における温度を u(x,y,z) として、
\end{itembox}

とするのはおかしく、

\begin{itembox}[l]{ソース}
\begin{verbatim}係数を $a$, $b$, $c$ はいずれも実数であり、$a\ne 0$ とする。\end{verbatim}\end{itembox}

\begin{itembox}[l]{組版の結果}
点 $(x,y,z)$\ における温度を $u(x,y,z)$\ として、
\end{itembox}

でなければいけません。

やや細かいことになりますが、 英文でものを区切るときに用いるコンマ `,' は、 後に必ず適当な幅のスペースを置く必要があります。 数式モードでは単に空白 `' を置いても無視されるので、 コンマは数式モードでは使わないのが良いでしょう。


\begin{itembox}[l]{ソース}
\begin{verbatim}\[
x=0\quad または\quad x=1
\]\end{verbatim}\end{itembox}

\begin{itembox}[l]{組版の結果}
係数を $a,b,c$\ はいずれも実数であり、$a\ne 0$\ とする。
\end{itembox}

はおかしく、

\begin{itembox}[l]{ソース}
\begin{verbatim}\[
x=0\quad\mbox{または}\quad x=1
\]\end{verbatim}\end{itembox}

\begin{itembox}[l]{組版の結果}
係数を $a$, $b$, $c$\ はいずれも実数であり、$a\ne 0$\ とする。
\end{itembox}

とするべき、ということです。

display 数式モードの中に言葉を入れたいことがあります。 この場合は、 \hbox \mbox を使います。例えば


\begin{itembox}[l]{ソース}
\begin{verbatim}\[
x^2=1\quad iff and only if\quad x=\pm 1
\]\end{verbatim}\end{itembox}

\begin{itembox}[l]{組版の結果}
\begin{displaymath}
x=0\quad または\quad x=1
\end{displaymath}\end{itembox}

は本当は使うべきでなく、

\begin{itembox}[l]{ソース}
\begin{verbatim}\[
x=0\quad\mbox{または}\quad x=1
\]\end{verbatim}\end{itembox}

\begin{itembox}[l]{組版の結果}
\begin{displaymath}
x=0\quad\mbox{または}\quad x=1
\end{displaymath}\end{itembox}

とします。

こうする理由は英語でやってみると分かりやすいです。

\begin{itembox}[l]{ソース}
\begin{verbatim}\[
x^2=1\quad iff and only if\quad x=\pm 1
\]\end{verbatim}\end{itembox}

\begin{itembox}[l]{組版の結果}
\begin{displaymath}
x^2=1\quad iff and only if\quad x=\pm 1
\end{displaymath}\end{itembox}

むちゃくちゃですね (日本語の場合は単語間スペースというものがなく、 文字はほとんど等幅なので、それなりに表示されるのですが)。


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Masashi Katsurada
平成14年6月14日