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1 陰関数定理と逆関数定理 -- 存在定理

兄弟の関係にある「陰関数定理」と「逆関数定理」を駆け足で説明する。

どちらも 「指定された点の近くで局所的な陰関数(あるいは逆関数)が存在する」 という存在定理である。

存在定理というと、2年生にはなじみが薄いかも知れないが、 まったくの初めてというわけではなくて、

  1. 中間値の定理「連続関数 $ f\colon[a,b]\to\R$ $ f(a)
f(b)<0$ を満たすならば、$ f(c)=0$ を満たす $ c\in(a,b)$ が存在する」
  2. 代数学の基本定理「複素係数の $ n$ 次多項式 $ a_0z^n+\cdots+a_{n-1}z
+a_n$ は複素数の範囲に少なくとも一つの根を持つ」
  3. Weierstrass の最大値定理「コンパクト集合 $ K$ 上の実数値連続関数は、 最大値を持つ」
という例 (どれも非常に重要) がある。

陰関数定理も逆関数定理も「関数の存在」を主張している。 証明においては、$ x$ が与えられたときに $ F(x,y)=0$$ y$ について解く、 $ y$ が与えられたときに $ f(x)=y$$ x$ について解く、 と方程式の解の存在をするのが関門である。


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Masashi Katsurada
平成23年7月25日