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解答

(1)
対角行列だから、固有値は対角成分の $ 1$, $ 1$. ともに正だから正値である。
(2)
対角行列だから、固有値は対角成分の $ -1$, $ -2$. ともに負だから負値である。
(3)
対角行列だから、固有値は対角成分の $ 3$, $ -1$. 正と負だから、不定符号である。
(4)
問題の行列を $ A$ とおくと、特性多項式は $ \det(\lambda I-A)=\left\vert\begin{matrix}\lambda-2 & -3 -3&\lambda-1
\end{matrix}\right\vert
=(\lambda-2)(\lambda-1)-(-3)(-3)=\lambda^2-3\lambda-7$ であり、 固有値は $ \dfrac{3\pm\sqrt{37}}{2}$ である。 正と負だから不定符号である。あるいは

$\displaystyle \det A_1=A_1=2>0,\quad
\det A_2=\det A=\left\vert\begin{matrix}2 & 3 3 & 1\end{matrix}\right\vert
=2\cdot1-3^2=-7<0
$

を見て、$ \det A<0$ であるから、不定符号である。
(5)
問題の行列を $ A$ とおくと、 特性多項式は $ \det(\lambda I-A)=\left\vert\begin{matrix}\lambda-3&-2 -2 &
\lambda-3\end{matrix}\right\vert=(\lambda-3)^2-2^2=\lambda^2-6\lambda+5=(
\lambda-1)(\lambda-5)$ であり、固有値は $ 1$, $ 5$ である。 共に正であるから正値である。あるいは

$\displaystyle \det A_1=A_1=3>0,\quad \det A_2=\det A=3\cdot 3-2\cdot 2=9-4=5>0
$

であるから、$ A$ は正値である。
(6)
(これは前問の行列の$ -1$倍だから、負値である。) 問題の行列を $ A$ とおくと、 特性多項式は $ \det(\lambda I-A)=\left\vert\begin{matrix}\lambda+3&2 2 &
\lambda+3\end{matrix}\right\vert=(\lambda+3)^2-2^2=\lambda^2+6\lambda+5
=(\lambda+1)(\lambda+5)$ であり、固有値は $ -1$, $ -5$ である。 共に負であるから負値である。あるいは

$\displaystyle \det A_1=A_1=-3<0,\quad
\det A_2=\det A=(-3)^2-(-2)^2=5>0
$

であるから、 $ (-1)^k\det A_k>0$ ($ \forall k$) を満たしているので、 $ A$ は負値である。
(7)
問題の行列を $ A$ とおくと、 特性多項式は $ \det(\lambda I-A)=\left\vert\begin{matrix}\lambda-4&-2 -2 &
\lambda-1\end{matrix}\right\vert=(\lambda-4)(\lambda-1)-2^2=\lambda^2-5\lambda
=\lambda(\lambda-5)$ であり、固有値は 0, $ 5$ である。 固有値に 0 があるので、正値でも負値でもない。また正の固有値はあるが、 負の固有値はないので、不定符号でもない。 ゆえに「正値でも、負値でも、不定符号のいずれでもない」。あるいは、

$\displaystyle \det A=4\cdot 1-2^2=0
$

から固有値に 0 があることが分かり (固有値を $ \lambda_1$, $ \lambda_2$ とすると、 $ \lambda_1\lambda_2=\det A=0$ だから)、正値でも負値でもないことが分かる。 2次の正方行列の場合、 もし不定符号であれば $ \det A=\lambda_1\lambda_2<0$ であり、 これは $ \det A=0$ に反するから、 $ A$ は不定符号でないことも分かる。
(8)
これは対角行列なので、固有値は対角成分で、0, 0. 正でない固有値があるので正値ではなく、 負でない固有値があるので負値ではなく、 正と負両方の固有値があるわけでないので不定符号ではない。
(9)
対角行列だから、固有値は対角成分の $ 1$, $ 2$, $ 3$. みな正だから正値である。
(10)
対角行列だから、固有値は対角成分の $ 1$, $ -2$, $ 3$. 正の固有値と負の固有値があるので不定符号である。
(11)
$ \left(\begin{array}{cc\vert c}
3 & 2 & 0 2 & 3 & 0 \hline 0 & 0 & 1
\end{array}\right)$ とブロック分けしたとき、対角線上にあるブロック以外はすべて 0 である。 ゆえに対角線上にあるブロックの固有値を調べればよい。 $ \begin{pmatrix}3 & 2 2 & 3\end{pmatrix}$ は既に見たように正値である (問 (5))。 右下のブロックの固有値は$ 1$でこれも正である。 ゆえに正値である。

問題の行列を $ A$ とおくと、 特性多項式は

    $\displaystyle \det(\lambda I-A)$ $\displaystyle =\left\vert\begin{matrix}\lambda-3&-2&0 -2 &\lambda-3&0 0 & 0...
...a-1) \left\vert\begin{matrix}\lambda-3&-2 -2&\lambda-3\end{matrix}\right\vert$
      $\displaystyle =(\lambda-1)((\lambda-3)^2-2^2) =(\lambda-1)(\lambda^2-6\lambda+5)$
      $\displaystyle =(\lambda-1)(\lambda-5)(\lambda-1) =(\lambda-1)^2(\lambda-5)$

であり、固有値は $ 1$, $ 1$, $ 5$ である。 すべて正であるから正値である。

あるいは、

      $\displaystyle \det A_1=3>0,\quad \det A_2=\left\vert\begin{matrix}3 & 2 2 & 3\end{matrix}\right\vert =3^2-2^2=9-4=5,$
      $\displaystyle \det A_3 =\left\vert\begin{matrix}3 & 2 & 0 2 & 3 & 0  0 & 0 ...
...ert =\left\vert\begin{matrix}3 & 2  2 & 3 \end{matrix}\right\vert\cdot 1 =5>0$

であるから、 $ \det A_k>0$ ($ k=1,2,3$) が成り立っていて、 正値であることが分かる。
(12)
これもブロック分けすると、固有値は、 $ A_2=\begin{pmatrix}-3&2 2&-3\end{pmatrix}$ の固有値と、$ -3$ を合わせたもの だと分かる。$ A_2$ は負値であるので (省略)、問題の行列の固有値はすべて 負であることが分かり、負値である。

問題の行列を $ A$ とおくと、 特性多項式は

    $\displaystyle \det(\lambda I-A)$ $\displaystyle =\left\vert\begin{matrix}\lambda+3&-2&0 -2 &\lambda+3&0 0 & 0...
...a+3) \left\vert\begin{matrix}\lambda+3&-2 -2&\lambda+3\end{matrix}\right\vert$
      $\displaystyle =(\lambda+3)((\lambda+3)^2-2^2) =(\lambda+3)(\lambda^2+6\lambda+5)$
      $\displaystyle =(\lambda+3)(\lambda+5)(\lambda+1) =(\lambda+1)(\lambda+3)(\lambda+5)$

であり、固有値は $ -1$, $ -3$, $ -5$ である。 すべて負であるから負値である。

あるいは

      $\displaystyle \det A_1=-3<0,\quad \det A_2=\left\vert\begin{matrix}-3&2 2&-3\end{matrix}\right\vert =(-3)^2-2^2=9-4=5>0,$
      $\displaystyle \det A_3=\left\vert\begin{matrix}-3&2&0 2&-3&0 0&0&-3\end{mat...
...rt\begin{matrix}-3&2 2&-3 \end{matrix}\right\vert\cdot (-3) =5\cdot(-3)=-15<0$

であり、 $ (-1)^k\det A_k>0$ ($ \forall k$) が成り立っているので、 負値であることが分かる。
(13)
問題の行列を $ A$ とおくと、 特性多項式は

    $\displaystyle \det(\lambda I-A)$ $\displaystyle =\left\vert\begin{matrix}\lambda-4&-1&0 -1 &\lambda-4&-1 0 & -1&\lambda-4\end{matrix}\right\vert$
      $\displaystyle = (\lambda-4)\left\vert\begin{matrix}\lambda-4&-1 -1&\lambda-4\...
...)^{(2+1)}(-1)\left\vert\begin{matrix}-1&0 -1&\lambda-4\end{matrix}\right\vert$
      $\displaystyle =(\lambda-4)\left((\lambda-4)^2-(-1)^2\right)-(\lambda-4) =(\lambda-4)\left(\lambda^2-8\lambda+14\right)$

であり、固有値は $ 4$, $ 4\pm\sqrt{2}$ である。 すべて正であるから正値である。

あるいは

      $\displaystyle \det A_1=4>0,\quad \det A_2=\left\vert\begin{matrix}4&1 1&4\end{matrix}\right\vert =4^2-1^2=15>0,$
      $\displaystyle \det A_3=\left\vert\begin{matrix}4&1&0 1&4&1 0&1&4\end{matrix}\right\vert =4\cdot4\cdot4-4\cdot1\cdot1-4\cdot 1\cdot1 =64-4-4=56>0$

であり、 $ \det A_k>0$ ($ \forall k$) が成り立っているので、 正値であることが分かる。 $ \qedsymbol$

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Masashi Katsurada
平成23年7月21日