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3.2 MATLAB とその互換システムの登場

MATLAB は EISPACK の開発にも関わった C.Moler が作成したシステムで、 彼が創立した MathWorks 社から販売されている。
[
l]MATLAB の特徴
  • インタープリター型言語である。そのため6
    • 対話的で使いやすいシステムになっている。
    • 注意深く利用しないと実行効率が低くなる7 (個々の命令の実行時に命令解釈のコストが必要なため、 繰り返し処理を多用すると計算時間が長くなりがちである)。
  • LAPACK などの各種数値計算ライブラリィを内蔵している (これらのライブラ リィ群へのインターフェイスであると理解すべきかもしれない)。
  • ベクトル、行列などのデータの型が始めから定義されているので、 命令が簡潔になっていて、プログラミングも楽になった 8

MATLAB をいかに評価するかであるが、筆者は最近

大したものではないか、ひょっとするとコロンブスの卵で大発明?
と考えるようになった。 このようなシステムを作るのは実は簡単で (実際、以下紹介するように 「真似」がたくさん出て来た)、しかし使ってみると分るが、 非常に便利である。 日本の数学界ではあまり人気がない (というか知られていない) ようであるが、 欧米や日本でも工学の世界では浸透している。

MATLAB は現在も改良が続けられていて、 行列計算関係では、 疎行列向きの処理法反復法なども採り入れられている。 簡単な偏微分方程式のシミュレーションへの応用も十分可能なレベルに成長した。

MATLAB を後を追ったシステムがたくさん開発されたが、 MATLAB の言語仕様は「準標準」となっている。以下 MATLAB と似たシステムを いくつか紹介しよう9。 いずれもソース公開のフリーソフトウェアである。

Octave
MATLAB との互換性が高い。 残念ながら疎行列専用の処理が用意されていないが、 入門には十分であるし、用途を選べば実用性も高い。
Scilab
MATLAB との互換性の程度は Octave よりも低いが、 ソフトウェアとしての完成度はやや高い (と思われる)。 疎行列処理も完全ではないが、LU 分解とそれに基づく連立1次方程式の 解法程度はサポートしている。 開発元から Windows 向けのバイナリーが配布されている。


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Masashi Katsurada
平成15年5月8日