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0.0.0.1 問

教科書 p.154 5.5 問2を解け。



基本線は演習 No.5 と同じで、 与えられた微分方程式の特性方程式を作って、 それを解き、 根の判別をして (重根、実根、虚根?)、 pp.153-154 の説明に従って一般解を書き下すだけである。

微分方程式の階数が $ 3$, $ 4$ なので、 特性方程式が $ 3$, $ 4$ 次方程式になるが、 高校数学の範囲 (代入して成り立つかどうかで解を探して、 因数定理を使って…) で解けるようなものにしてあるので大丈夫のはず。

上で「pp.153-154 の説明」と書いたが、少し違ったまとめ方をしてみよう (これは 12月13日の授業で喋った)。 最初の要点は、
$ \alpha$ が特性方程式の $ k$ 重根ならば (重根でない根の場合は $ k=1$ とする)、 一般解の式に $ C_1 e^{\alpha x}+C_2 x e^{\alpha x}+C_3 x^2 e^{\alpha x}\cdots+
C_k x^{k-1} e^{\alpha x}$ というものが現れる。
というものである。 虚数の指数関数を使っても構わないならば、これでOK, となる (教科書の p.154 の上半分に書いてあること)。

$ \alpha$ が虚数で、 「虚数の指数関数を使わないで書こう」という場合は、もう一仕事必要になる。

まず
実係数の方程式では、 $ \alpha=a+ib$ ($ a$, $ b$ は実数, $ b\ne 0$) がちょうど $ k$ 重根ならば、 $ \overline{\alpha}=a-ib$ ($ a$, $ b$ は実数, $ b\ne 0$) もちょうど $ k$ 重根 である
ということに注意する。

そして次の事実が重要である。

$\displaystyle \{C_1 e^{(a+ib)x}+C_2 e^{(a-ib)x}; C_1,C_2\in\C\}
=
\{A e^{ax}\cos bx+B e^{ax}\sin bx; A,B\in\C\}.
$

(ここで $ \C$ は複素数全体の集合を表す。)

例えば $ \alpha=1+2i$ がちょうど $ 2$ 重根である場合、 $ \overline{\alpha}=1-2i$ もちょうど $ 2$ 重根なので これら4つの根に対応して、一般解の式には

$\displaystyle C_1 e^{(1+2i)x}+C_2 x e^{(1+2i)x}
+C_3 e^{(1-2i)x}+C_4 x e^{(1-2i)x}$   $\displaystyle \mbox{($C_1$, $C_2$, $C_3$, $C_4$\ は任意定数)}$

というのが現れることが分かる。

ここで上に述べた事実☆を使うと、 $ C_1 e^{(1+2i)x}+C_3 e^{(1-2i)x}$ $ A e^x\cos 2x
+B e^{x}\sin 2x$ に (ただし $ A$, $ B$ は任意定数)、 $ C_2 x e^{(1+2i)x}+C_4 x e^{(1-2i)x}
=x\left(C_2 e^{(1+2i)x}+C_4 e^{(1-2i)x}\right)$ は、 $ x(D e^x\cos 2x+E e^{x}\sin 2x)$ に (ただし $ D$, $ E$ は任意定数) に書き換えられることが分かる。まとめると

$\displaystyle C_1 e^{(1+2i)x}+C_2 x e^{(1+2i)x}
+C_3 e^{(1-2i)x}+C_4 x e^{(1-2i)x}
=
A e^x\cos 2x+B e^{x}\sin 2x+x(D e^x\cos 2x+E e^{x}\sin 2x).
$


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Masashi Katsurada
平成20年1月10日