6.1 はじめに

(復習) Laplace方程式の境界値問題は、ポテンシャル問題と呼ばれる。

関数論では、しばしばある条件を満たす正則関数 $ f=u+iv$ の存在が問題となる。 その際にまずその関数の実部 $ u$ を求め、 虚部 $ v$ は実部 $ u$ の共役調和関数として得る、 という二段階作戦が使われることがしばしばある (後で等角写像を求める実例が出て来る)。 正則関数の実部 $ u$ は調和関数 (Laplace 方程式の解) であるので、 その境界値が得られれば、Laplace 方程式の境界値問題の解として特徴付けられる。


実感を持つため、すでに見たことのある問題を振り返ろう。 非圧縮渦なし(ポテンシャル)流の速度ポテンシャル $ \phi$ (複素速度ポテンシャル $ f$ の実部) は次を満たす (第8回授業)。

\begin{subequations}% 2024-05-23 14:52の式群
\begin{align}&\Laplacian\phi=0 &...
...{n} }=\bm{v}\cdot\bm{n} & \text{(on $\rd\Omega$)}. \end{align}\end{subequations}

$ \rd\Omega$ 上の $ \bm{v}\cdot\bm{n}$ (速度の法線成分) が分かれば、 (6.1b), (6.1b) は、 Laplace方程式のNeumann境界値問題である。 かなり一般的な条件下で、定数差を除いて一意的に解が存在することが知られている 1

$ \phi$ が求まれば、 $ \bm{v}=\grad\phi$ により $ \bm{v}$ が得られ、流れが分かる。

$ \rd\Omega$ 上の $ \bm{v}\cdot\bm{n}$ さえ分かれば、 (6.1b), (6.1b) を解いて流れが求まる。

前節で既知の正則関数を組み合わせることで色々な2次元流れを表す、 という手法を紹介した。 例えば円柱周りの一様流の問題などを解いた。 扱える問題の範囲が異なり、 どちらが優れているとも言えないが、 こちらの方法の有効性を想像するのは難しくないであろう (実際、とても強力である)。



桂田 祐史