2.1.1 定義と一意存在


\begin{jproposition}[補間多項式の一意存在]
$[a,b]$ は $\mathbb{R}$\...
...実係数多項式 $f_n(x)$ が一意的に存在する。
\end{jproposition}

証明. 学ぶ価値のある証明が色々あるが、ここでは構成的な証明を採用する。 $ k=1,\cdots,n$ に対して、

(3) $\displaystyle L_k^{(n-1)}(x):= \frac{\prod_{1\le j\le n\atop j\ne k}\left(x-x_j...
...{k+1})\cdots(x-x_n)} {(x_k-x_1)\cdots(x_k-x_{k-1})(x_k-x_{k+1})\cdots(x_k-x_n)}$

$ L_k^{(n-1)}(x)$ を定める。

(4) $\displaystyle L_k^{(n-1)}(x)\in\mathbb{R}[x],\quad \deg L_k^{(n-1)}(x)=n-1,\quad L_k^{(n-1)}\left(x_j\right)=\delta_{jk}\quad\text{($j=1,\dots,n$)}$

が成り立つ。また、証明としては余談になるが、

(5) $\displaystyle F_n(x):=\prod_{j=1}^n\left(x-x_j\right)$

とおくと、

(6) $\displaystyle L_k^{(n-1)}(x)=\frac{F_n(x)}{\left(x-x_k\right)F_n'(x_k)}$

が成り立つ。

(7) $\displaystyle f_n(x):=\sum_{k=1}^n f(x_k)L_k^{(n-1)}(x)$

とおくと、$ f_n(x)$ は (46) を満たす。

以上で存在が示せた。$ n-1$ 次多項式の係数 $ (a_0,a_1,\dots,a_{n-1})$ (つまり $ f_n(x)=\dsp\sum_{k=0}^{n-1}a_k x^k$ ということ) を $ x_1$, $ x_2$, $ \dots$, $ x_n$ での値 $ f_n(x_1)$, $ f_n(x_2)$, $ \dots$, $ f_n(x_n)$ を対応させる写像は、 $ \mathbb{R}^n$ から $ \mathbb{R}^n$ への線型写像である。 上でそれが全射であることが分かった。 線形代数で学ぶ定理によって、それは単射である。 これは $ f_n(x)$ が一意的に定まることを意味している。 $ \qedsymbol$ $ \qedsymbol$

$ L_1^{(n-1)}(x)$, $ \dots$, $ L_n^{(n-1)}(x)$ を、 $ x_1$, $ \dots$, $ x_n$ を標本点とする Lagrange 補間係数と呼ぶ。

上の定理の $ f_n(x)$$ f$補間多項式 (interpolating polynomial) と呼ぶ。 上の議論から分かるように

(8) $\displaystyle f_n(x)=\sum_{k=1}^n\frac{F_n(x)}{\left(x-x_k\right)F_k'(x_k)}f(x_k)$

と表せる。これを Lagrange 補間公式 (Lagrange 補間多項式, Lagrange interpolating polynomial) と呼ぶ。

(Newtonの補間公式 (Newton 補間多項式, Newton polynomial) というものもあるが、 補間多項式であることには変わりがない。)

桂田 祐史