以上の議論から、 を最小にするような を見出せば問題が解決することが分かる。 は常に を満たすので、 が下に有界でありることは明らかで、 従って の下限が存在する。 Riemann は、 (この下限は最小値であるから) 最小値を与える が存在する、と議論したのだが、 Weierstrass は「下限は最小値である」ことに疑義を示した (「数学解析」を学んだ人は、 いかにも Weierstrass がツッコミそうなところと思うかも)。
残念ながら若くして亡くなった Riemann は、 Weierstrass の批判に答えることが出来なかった。 この論法による完全な証明は、 約 50 年後 (1900年頃) に D. Hilbert が解決するまで持ち越された。
本当は、Dirichlet の原理は、 C. F. Gauss (1777-1855) がルーツで、 物理学の世界ではすでに知られていた考え方で、 それを Riemann が純粋数学に応用したのだ、という見方をする人もいる。