2016年度応用複素関数シラバス (案, 工事中)

桂田 祐史


Date: 2016年4月7日, 2016年4月13日


2015年度は、教科書的なやり方で、無限遠点の話を結構詳しく説明しました。 それは基礎的で非常に重要なことではあるけれど (リーマン面の例でもあるリーマン球面に親しめる)、 今年度はよりコンピューター数理的な内容の比重を高めるつもりです (式計算、数値計算をたくさんする1)。

学生が読む必要はあまりないと思われるが、 Henrici [1] という本の精神に近い。


見方によっては、 いわゆる何かの役に立つような話ばかりしているように思えるだろうけれど、 その向こう側に理論的なことの重要性が浮かび上がるような、 そういう講義にしたいと考えています。

  1. イントロダクション
  2. 複素関数の続き
    (a)
    留数定理の応用
    (1)
    定積分 (「複素関数」で取り上げなかったもの -- やり残しでもあり、この後の布石でもある)
    (2)
    級数の和
    (b)
    解析接続 (「複素関数」でやるべきだったけれど、 時間不足のためハミ出し、この後の応用に重要)
  3. 数値積分 (台形公式の最適性, 二重指数関数型積分公式, 出来れば高橋・森理論の誤差解析理論の紹介をしたい)
  4. 佐藤の超関数
    超関数という言葉を耳に入れておきたい。 Schwartz の distribution が有名だが、 佐藤の超関数は関数論の延長で自然に説明が出来る。
  5. 「特殊関数」入門 (主に数理物理で有用な複素関数達の紹介, 数値計算)
    実は「特殊関数」という名前は個人的に嫌いなのだけど。 敬遠するのはもったいないので、ちょっと触れてみる。
  6. 等角写像 (1次分数変換, Schwarz-Christoffel mapping, Riemann の写像定理, 数値等角写像)
  7. 流体力学入門 (流体力学の方程式, 2次元ポテンシャル流, Laplace 方程式の境界値問題)

2,3,4,5はそれぞれ 1.5〜2コマ程度。6, 7に残り時間投入。

Mathematica, C++, FreeFem++ を使うつもりです。



桂田 祐史
2016-04-13