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1 序

この文書では、 $ 1$ 階正規形の常微分方程式の初期値問題に対する数値解法を扱う。すなわち

(1) $\displaystyle \frac{d x}{d t}$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f(t,x)$   $\displaystyle \mbox{($t\in I$)}$
(2) $\displaystyle x(t_0)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle x_0$

を満たす $ x=x(t)$ の近似解を求めることを考える。 ここで $ I$$ t_0\in \R$ を含む $ \R$ の区間で、

$\displaystyle \left\{
\begin{array}{l}
f:\R^{n+1}\supset\Omega (\mbox{開集合})\to \R^n\quad\mbox{連続}, \\
(t_0,x_0)\in\Omega
\end{array}\right.
$

は与えられているとする。


\begin{jremark}
高階の方程式も $1$ 階にできることが多いので、
$1$ 階正規形の方程式は十分一般的であると考えられる。 \qed
\end{jremark}


微分方程式の解は関数であり、 これは関数空間の要素としてとらえるのが (現代の数学では) 普通である。 (大抵の場合、関数空間は無限次元空間で、問題を難しくしている。)

微分方程式は解析的1に解けないことが多い。たとえ解けても便利でないことがある2

近似解法では、解の有限的な近似表現を求める。具体的には、

残念ながら

常微分方程式の初期値問題に限っても万能の方法はない。
プロでない平均的ユーザーとしては、 実際的にはとりあえず Runge-Kutta 法を使い3、 不満があれば他の方法を考える、くらいで良いだろう。

この講義では、基礎概念を簡単に説明した後で、

  1. 刻み幅の自動調節 (adaptive stepsize control)
  2. 硬い方程式 (stiff problem)
などの話題を紹介する。 詳しいことを知りたい場合は、まず三井 [1] を見るとよい。


最近 (2004年2月)、面白い本が出版された。 三井・小藤・齊藤 [13] である。 第2章「ハミルトン系の解法」, 第3章「遅延微分方程式の解法」, 第2章「確率微分方程式の解法」と章の名前を見れば一目瞭然、 現在盛んに研究されている分野への入門ができる (ヒットだと思う)。


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Masashi Katsurada
平成23年4月29日