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この文書では、
階正規形の常微分方程式の初期値問題に対する数値解法を扱う。すなわち
を満たす の近似解を求めることを考える。
ここで は を含む の区間で、
は与えられているとする。
微分方程式の解は関数であり、
これは関数空間の要素としてとらえるのが (現代の数学では) 普通である。
(大抵の場合、関数空間は無限次元空間で、問題を難しくしている。)
微分方程式は解析的1に解けないことが多い。たとえ解けても便利でないことがある2。
近似解法では、解の有限的な近似表現を求める。具体的には、
- 「有限次元の関数空間の要素で近似する」が基本。
- 特に連続変数を離散変数に置き換えて近似する離散変数法が有力。
残念ながら
常微分方程式の初期値問題に限っても万能の方法はない。
プロでない平均的ユーザーとしては、
実際的にはとりあえず Runge-Kutta 法を使い3、
不満があれば他の方法を考える、くらいで良いだろう。
この講義では、基礎概念を簡単に説明した後で、
- 刻み幅の自動調節 (adaptive stepsize control)
- 硬い方程式 (stiff problem)
などの話題を紹介する。
詳しいことを知りたい場合は、まず三井 [1] を見るとよい。
最近 (2004年2月)、面白い本が出版された。
三井・小藤・齊藤 [13] である。
第2章「ハミルトン系の解法」,
第3章「遅延微分方程式の解法」,
第2章「確率微分方程式の解法」と章の名前を見れば一目瞭然、
現在盛んに研究されている分野への入門ができる
(ヒットだと思う)。
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Masashi Katsurada
平成23年4月29日