学科では、学生の MacBook に MacTeX をインストールして配布しているのだが、 TeXShop で ptex2pdf を使いましょう、となっていて (今でも本当にそうなのかな?)、 私もそれに習えをしていたけれど、いいかげん窮屈になってきたので、 乗り換えを考えよう。
upLaTeX か LuaLaTeX かなあ。
upLaTeX を試す
TEX upTeX, upLaTeX - TeX Wiki にあるようにやってみた。
kumo.tex |
/Users/mk/.tex-inputs/kumo.tex.tex |
こうやってPDFにする |
uplatex kumo.tex dvipdfmx kumo.dvi |
Unicode OK と縦書きを見せたい、と言う例なのだろうけれど、 横書きならば ujarticle とかするのかな。
自分が持っている長め(300ページくらいの講義ノート)の文書を組版してみよう。
cp complex2022.tex complex2022u.tex vi complex2022u.tex(jarticle を ujarticle に直す) uplatex complex2022u.tex uplatex complex2022u.tex upbibtex complex2022u upmendex complex2022u uplatex complex2022u.tex dvipdfmx -d 5 -O 2 complex2022u.dvi |
pLATEX から upLATEXへ乗り換えるときの要点
pLATEX | upLATEX | |
.tex→.dvi | platex | uplatex |
.tex→.pdf | ptex2pdf -l | ptex2pdf -u -l |
pbibtex | upbibtex | |
索引 | mendex | upmendex |
(2022/9/17追記) 「[改訂新版]upLaTeXを使おう」 というのを見つけた。
(2022/9/18追記) latex2html は ujarticle は知らない、という。
cd /usr/local/share/lib/latex2html/styles sudo cp -p jarticle.perl ujarticle.perl cd - |
(2022/9/25) しばらく使ってみて。
(2022/9/26追記) 例えば \usepackage[uplatex]{otf} あるいは \documentclass[uplatex]{ujarticle} のように、 uplatex オプションをつければ、 \usepackage{otf} を削除する必要はない。 \CID{} が使えるのは良いかも (これまで使ったことがないけれど)。
LuaLaTeX を試す
「LuaTeX-ja の使い方¶」 を参考にやってみる。
LuaLaTeX-ja と言うのを使うのかな。 TeX Live を使っているならば既にインストールされているはず、らしい。 信じて前進する。
testluatex.tex |
\documentclass{ltjsarticle} \usepackage{luatexja} % ltjclasses, ltjsclasses を使うときはこの行不要 \begin{document} \section{はじめてのLua\TeX-ja} ちゃんと日本語が出るかな? \subsection{出たかな?} 長い文章を入力するとちゃんと右端のところで折り返されるかな? 大丈夫そうな気がするけど.ちょっと不安だけど何事も挑戦だよね. \end{document} |
なんか、読むと使うのが不安になる(笑)。 documentclass で指定できるのは、 ltjsclasses や ltjclasses があるが、 将来的にどうなるか決まっていないとか。
和文フォントは原ノ味フォントが埋め込まれるとか。
とりあえず |
lualatex testluatex.tex |
次にフォントの指定をする例を試す。
testluatex2.tex |
\documentclass{ltjsarticle} \usepackage{luatexja-fontspec} \setmainfont[Ligatures=TeX]{TeXGyreTermes} \setsansfont[Ligatures=TeX]{TeXGyreHeros} \setmainjfont[BoldFont=HaranoAjiMincho-Bold]{HaranoAjiMincho-Regular} \setsansjfont{HaranoAjiGothic-Medium} \newjfontfamily\jisninety[CJKShape=JIS1990]{HaranoAjiMincho-Regular} \begin{document} mainのフォント.{\bfseries boldのフォント.}{\sffamily\gtfamily sansのフォント.} 通常の「辻」.{\jisninety JIS90字形の「辻」.} {\fontspec{M+ 1c}\jfontspec{M+ 1c} ここはM$^{\mbox{+}}$フォントで出力.} \end{document} |
なんだか難しそう。
できるかな? |
lualatex testluatex2.tex |
luaotfload | db : Reload initiated (formats: otf,ttf,ttc); reason: Font "M+1c" not found. luaotfload | resolve : sequence of 3 lookups yielded nothing appropriate. ! Package fontspec Error: The font "M+1c" cannot be found. |
原因はそのものズバリで M+1c というフォントがインストールされていないこと。
「美しいフリーフォント M+ FONTS の種類が多すぎてわかりにくいので比較してみた」 によると M+ OUTLINE FONTS | DOWNLOAD から mplus-TESTFLIGHT-059.tar.xz を入手せよ、とあるけれど、WWWサイトが無くなっている。
https://osdn.net/projects/mplus-fonts/releases/62344から https://osdn.net/projects/mplus-fonts/downloads/62344/mplus-TESTFLIGHT-063a.tar.xzを入手した。
mplus-TESTFLIGHT-063a.tar.xz を展開して、 .ttf を選択して(面倒なので全部選択して)インストールした。 今度は
lualatex testluatex2.tex |
(TeXLive 全部入れてると細かいことに悩まないで済むのは楽だな。)
追記: ファイル拡張子が .xz のファイルの展開は、 macOS ではサポートされていないみたい?? ネットを見ると、色々なフリーソフトを使う方法が説明されている。 例えば xzcat を使ってやってみよう。これは MacPorts を使うと
sudo port install xz |
tar xJf mplus-TESTFLIGHT-063a.tar.xz |
ところが…実は現在の macOS では、 mplus-TESTFLIGHT-063a.tar.xz は、 macOS のアーカイブユーティリティでも展開できるみたい。
% mdfind アーカイブユーティリティ.app /System/Library/CoreServices/Applications/Archive Utility.app |
参考: MacOS adds XZ-compression support
(2022/10/16追記)
上では lualatex コマンドを使って組版したが、
TeXShop でファイルを開くと、自動的に判定されて、
ボタンを押すだけでちゃんと処理できることに気づいた。
当たり前なのかもしれないが便利で嬉しい。
桂田 祐史