1.1 kvの特徴

(i)
フリーソフトである。それは特に珍しくないと感じる人がいるかもしれないが、 この業界で現在メジャーな INTLAB は有料である (そのせいで気軽に試せないし、人にも勧めにくい) ので、とてもありがたい。
(ii)
区間の下限・上限を表すのに、 double 型だけでなく、dd型 (double-double, つまりは一種の4倍精度の型) も利用可能である。 さらに GNU MPFR を使うことも出来る。
(ただし「MPFR の機能を使うのは加減乗除と平方根のみであり、 せっかく MPFR が持っている優秀な数学関数群は一切用いられない。」だそうです。)
(iii)
区間演算は基本的演算だけでなく初等超越関数にも使える。
(iv)
自動微分の機能もある。
(v)
行列、ベクトルは、今でも Boost の ublas を使っている。
(vi)
double 以外の型も使えるようにということで、 BLAS などを使った高速化等はない。

簡易版 kv では (ii) がない (機能が少ない -- 要求を満たせば、 シンプルな方が使いやすい、という見方もある) が、(v) と言う短所(?)もない。 普段は簡易版 kv を使い、いざと言うときは kv を使う、 というのが良いかもしれない。

桂田 祐史
2020-09-03