1.1 何をテーマとするか -- 条件編

数学科のようなところでは、ゼミで共通のテーマを決めて、 みんなで一緒に勉強する、最後の数ヶ月で個別の課題に取り組む、 というやり方をしているところが多いです。 桂田自身も数学科の教員をしているときはそうして来ました。


現象数理学科では、早めに個別のテーマを決めてもらうことにしています。


桂田自身は、数値計算法の数理を研究テーマとしています。 それで大学院生にも、 原則として、 広い意味での数値計算法の数理に関わる研究をしてもらっています。 これに対して、学部の卒業研究は、割とゆるくやっています。

桂田ゼミの学部生の卒業研究テーマの条件は以下の4つ。

  1. 自分で本当に興味が持てること。
    どうもこの条件を軽く考える人が多いので、最近は「本当に」と入れています。 これは、自発的に勉強して、自分で問が見つけられる、という意味です。 多分大事なことは、自発的に勉強することの方で、 たいていの場合は、それで興味と疑問が湧いてくるものです。
  2. 現象数理学、数学に関するテーマであること。
    これは当たり前で、最初に書くべきことかもしれませんが、 「興味」を最初にあげてみました。
  3. 適度な難しさであること。
    答えが本に書いてあって、 読めばすぐに分かるようなのは不適切です (それは研究ではなくて、 ただの勉強です。適度な努力をしましょう)。 その反対に、勉強・研究の仕方も見当がつかないような、 極端に難しいことをやろうと言い出さないように。 ただし、難しさは「(調べて$ \vert$ やって)みないとわからない」ことが多いので、 即ダメ出しはしません (すぐにあきらめないように)。 時間に余裕があるときは、とりあえず始めてみる、でも良いと思います (ただし時間が迫ってきた段階でのんきに難しいことをすると言い出すのはアウト)。
  4. 桂田がつきあえること。
    桂田が知らない、詳しくないことを理由に反対はしません。 そもそも研究は指導教官から「教わってする」ものではありません。 研究の話の聞き役になって、時々「こうしてみたら」とアドバイスして、 最後に評価するのが指導教官の役割です。



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桂田 祐史
2018-06-08