(以前、別の文書 (卒業研究レポートを書く人達への注意事項)
に書いておいたもの。今回、文章化しようと思ったが、
そのための時間的余裕がないので、箇条書きのまま取り込む。)
- 発表会スライド資料などとは違って、
完全な文章であること(体言止めとかしない)。
当たり前であるが、本文に「である」調と「ですます」調を混ぜない
(普通は「である」調であろう)。
声に出して読んで意味が伝わる文章。式も文章のうちで、
式の最後にカンマやピリオドを打つことが普通である。
特別な場合を除き口語は使わない。
- 理工系の場合は、表現を「文学的に」凝る必要はない、
というか凝るべきでない。
同じようなものを並べる場合、
重複になっても、同じような体裁にしてしまうとか。
本当に並べるべきものならば、
箇条書きや番号付けて列挙したり表にしてしまうとか。
- 文はあまり長くしない。長くなったものは切って複数の文にする。
- 研究論文は基本的に事実を書くものである。
もちろん予想・推測を取り扱うことはある。
事実とそうでないものは混ぜずに分けて書き、明確に区別する。
事実はきちんと断定する (ときどき断定を嫌って「思う」を使う人がいるがマズ
い)。
- 用語や記号で一般に知られていなかったり、
流儀がいくつかあるものについてはきちんと説明する。
先頭から読んで、説明前に使っていることがないかも注意する。
- 他人の知的所有権は尊重する。
- 引用について。出典を明記 (確認をする人の立場に立ち、
テキストによっては出現場所を章番号、定理の番号、
ページ番号などで示すことも検討する)、
原則正確に写す
(仮名遣い程度の小さな変更も、変更した場合はそのことを説明する)、
本文と引用文の境界を明確にする、
適切な分量にとどめる、
あくまでも自分の文章が主で引用は従でなければならない。
- コピペについて。
これは僕自身の修行時代はなかったこと。
何か用意しないと…
- タイトル、氏名、所属、日付。
経験が浅いうちは案外所属を間違えたりする。
日付も抜かす人がいるけれどマズい。年号も忘れずにつける
(面倒ならば TEX に任せること -- 締める時に手入力する)。
- イントロ。一番書きづらいところかもしれない。
その文書の内容の(アブストラクトよりは長い)要約。
ネタバレありの予告。
扱う問題と得られた結果の概略を述べることが大事。
もっとも結果については、
Concluding Remarks でするのかも。
その論文以前までの研究の状況を
(主にこの論文が関係する範囲に限定して)概観することが必要な場合が多い。
……イントロしか読まれないかもと覚悟。
- 長い議論は補題を作って分割することも考える。
細かい議論は付録に。
- Concluding Remarks, 結論。
数学の場合は、書かない場合がないわけではないが
(序論で済んでしまう場合があるので)、書いた方が良い
(あいつの論文、Concluding Remarks がないから、それを理由に落としてやった、
と言っていた人がいました)。
出来たこと (イントロでも書くわけだけど、
Concluding Remarks は一応本論の後にあるわけで、
イントロよりはクリアに書けるわけだ)、
残った問題。
- 実験結果については特に理由がない限り
(特許を申請するため、しばらく研究上の優位性を保ちたい等)、
追試する人の便宜を考え、
再現に必要な情報をもらさずに書く
(入力パラメーターも忘れずに)。
コンピューター環境の情報も大事になる可能性もあるので書くことを検討する
(何十年以上も経ってから読まれる可能性もある)。
- 実験結果を見せてお終い、とはしないこと。
それから読み取れることを言葉でも説明する
(同じものから何を読み取れるか、人によりかなりの差があるものである)。
そもそも声に出して聞き取れるだけで、分かるようになっているべきだし。
ここらへんはテレビ屋さんなどは違った見解をもっているだろうけれど。
- (これは論文の書き方に関する注意というよりは実験の仕方に関する注意だけど)
パラメーターを変えただけの似たような図を複数用いる場合は、
図の中にプログラムでパラメーターを埋め込むなど、
間違いが起こらないような工夫をする。
そもそも自分でも100%再現できるように。
入力パラメーターなどは手入力はさけて、
実験全体をスクリプトで実行するのが良いかも。
- 謝辞。感謝できる機会はここだけと考え、惜しまずに表明すること。
何年も経つと、誰かが自分に教えてくれたことを、
まるで自分が見つけたかのように記憶が改変されている場合がある。
人に教えてもらった場合はメモする時に、誰に教わったかも必ず書き、
そのことが蒸発しないようにしよう。
まあ、先生が教えたことを一々書くのは大変だからほどほどにして良いけれど。
実験やプログラミングを手伝ってくれた人のことも忘れずに。
- 共著の場合は、数学分野では、
アルファベット順またはあいうえお順に著者名を並べるのが原則。
桂田 祐史
2018-02-09